放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英双方向テレビのKit,サービス終了

イギリスのイングランド北東部ハル市地域の電話会社Kingston Communicationsが1999年から実施していたADSL電話回線を利用した家庭向け双方向テレビサービスKitが,3月末でサービスを終了した。電話回線を使用したテレビサービスのパイオニア的存在だったが,加入者数は4,000件に留まるうえ,BTやAOLによるIPTVサービスの全国展開が予想され,地域電話会社のKingston Communicationsは撤退を余儀なくされた。

仏衛星放送の合併,ラガルデールも参加へ

昨年12月,フランスの2大衛星放送会社,CanalSatとTPSの合併が発表されたが,ラガルデールとビヴァンディ・ユニバーサル(VU)は,2月 17日,CanalSat の34%を所有するラガルデールも,5億2,500万ユーロを追加出資して今回の合併に参加すると発表した。この結果,合併により設立される新会社 Canal Plus France(仮称)の株主構成は,VU傘下のCanal Plusグループが65%,ラガルデールが20%,TF1が9.9%,M6は5.1%となる。新会社は有料テレビのCanal PlusやCanalSat,TPSの全株式を所有することになる。ラガルデールは,エアバスなどの航空・防衛産業に出資するほか,出版,新聞,雑誌,放送などに進出している。

ベルリン,地上デジタル放送補助問題で欧州裁判所に提訴

ベルリン・ブランデンブルク州メディア監督機関(Mabb)は,地上デジタル放送の送信費用として商業放送に交付した補助金について,欧州委員会が違法と判断したことを不服として,1月30日,判断の無効を求めて欧州裁判所第一審に提訴した。Mabbは,補助金がなければ商業放送は地上デジタル放送に参加せず,デジタル放送への移行は成功しなかったとし,また州メディア監督機関によるデジタル放送のインフラへの支援はドイツの放送州間協定で認められていることを強調した。

伊携帯端末向け放送, サッカーW杯から本格化

世界8か国以上で第3世代(3G)携帯事業を行うハチソン・ワンポア傘下の「3(トレ)イタリア」は2月20日,DVB-H規格による携帯端末向け放送を,6月に開幕するサッカーW杯ドイツ大会に合わせて開始すると発表した。新サービスは「La3」と称し,衛星有料放送Skyや公共放送RAI(交渉中)などのチャンネルや独自チャンネル合計15チャンネルでサービスを開始し,年内にさらに5チャンネルが加わる予定。プレミアムコンテンツとして,W杯全 64試合を携帯電話事業者として独占生放送する。また,通信業者最大手Telecom Italia傘下のTIMも6月の商用化を発表しており,6月から携帯テレビ市場の競争が本格化する。

伊首相,選挙公約に70歳以上受信料免除案

4月9日に総選挙を控えるベルルスコーニ首相は,2月23日,連立与党の「公約」の中で高齢者向け福祉政策の一環として,70歳以上の視聴者に公共放送 RAIの受信料を免除する用意があると高齢者の集会で発言した。この案に関し2月25日付の経済紙「Il Sole 24 Ore」は,RAIの受信料契約者の20%以上が70歳以上にあたり,免除案を導入すれば受信料減収は約3億ユーロ(約423億円)にのぼると試算,補てんのために受信料の値上げをすれば年額20ユーロ近く(約2,800円)となり,値上げは難しいと報道した。

オーストリア,地上デジタル放送の導入詳細定まる

オーストリアの通信監督庁は,地上デジタル放送のマルチプレックス運用事業免許を,2月23日,Osterreichische Rundfunksender GmbH(ORS)に交付した。ORSは,公共放送のオーストリアの放送協会ORFと民間のメディア複合企業Medicur Holdingの合弁会社で,地上放送の送信や衛星放送のアップリンク・ダウンリンク事業を請け負っている。今回付与された免許は,2つのマルチプレックスに関するもので,少なくとも1つのマルチプレックスが,2007年3月までに全人口の60%,2009年3月までに90%をカバーするよう定めている。この他,ORFのチャンネルORF1,ORF2,ORF2の地域版,商業放送のATV+の計4チャンネルがマストキャリーとなっている。ORSは2006 年10月から地上デジタル放送を開始し,2010年末にはアナログ放送を完全に終了できるとしている。