放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

中国のメディア規制,米議会で問題化

中国ではここ1~2年,メディア規制が強化されているが,アメリカのネット事業者が中国政府のメディア規制に協力していたことが最近相次いで表面化し,2月15日に開かれた米議会の公聴会で問題になった。公聴会に出席したのは,ヤフー,グーグル,マイクロソフト,シスコシステムズの 4社の幹部で,このうちヤフーは,2005年に中国政府の求めに応じ,ネット上で活躍する民主活動家に対するネット情報を提供し,活動家の逮捕と仲間数人の起訴に協力したとされている。またグーグルは中国国内での検索サービスで,「民主主義」「人権弾圧」「天安門事件」など特定の言葉を除外したことなど,各社とも当局に協力したとして議員から強く非難された。これに対し各事業者は,中国のメディア規制はアメリカ政府が対応すべき問題と主張した。

韓国の地上波DMB,残る2事業者も本放送開始

首都圏の地上波DMB(デジタル・マルチメディア放送)は,昨年12月に免許を持つ6社のうち KBS,MBC,SBS,YTNの4社が本放送を開始しているが,残る韓国DMBとU1メディア(旧KMMB)も,3月1日,本放送を開始した。

アナログ停波を2011年に,豪議会が提案

地上デジタルを検討しているオーストラリア下院の委員会は,デジタル化完了とアナログ停波時期を2011年1月1日に変更するよう,政府に提案する報告書を2月13日に提出した。現行のデジタル転換法による計画では,2009年1月1日アナログ停波となっているが,これを2年間先延ばしにしたもの。同国では,2001年から地上デジタル放送が始まり,2006年2月現在,全世帯(760万)の95%でデジタル受信が可能なものの,受信機の販売総台数は 130万に到達したばかりである。

台湾,ニュースチャンネルの免許取消を見直し

台湾行政院(内閣)の訴願委員会は2月16日,“やらせ”映像の放送など不正行為の多発を理由に 2005年7月免許取消となったケーブル向け衛星チャンネル「東森新聞S台」について,免許取消の処分は重すぎるとして東森の訴えを認め,メディアを管轄する新聞局に対し,2か月以内に免許取消以外の処分をするよう求めた。免許取消処分を受けた7チャンネルのうち,訴えが認められたのは「龍祥電影台」に続き2件目となる。新聞局では,改めて行う処分は新規に発足するNCC(国家通信放送委員会)にゆだねるとしている。

シンガポール,今年半ばからIPTVサービス開始

シンガポールの公共放送メディアコープが,今年半ばには,ブロードバンドを使うテレビ番組のオンデマンド有料サービス(IPTV)を開始する。2月16日のチャンネル・ニューズ・アジアが伝えた。このサービスを受ける視聴者は,チャンネル5,8,Uの3チャンネルの過去2週間分の番組を,随時パソコンにダウンロードして見ることができる。料金は未定だが,一般のDVDレンタルショップより安くなるとみられている。

ネパール,新たな衛星チャンネルが誕生

首都があるカトマンズ盆地を放送範囲とする地上波の民放テレビImage Channelが,2月17日から衛星波による24時間放送も開始した。これで同チャンネルの放送は,ネパール全土および他の 70か国で視聴可能となった。Image Channelは,2003年7月から首都圏向けの地上放送ImageMetro の放送を行っている。ネパールには,同チャンネルの他に,民放STNと国営テレビNTVが運営する衛星チャンネルがある。

ブータン,国営テレビが衛星伝送を開始

ヒマラヤの王国ブータンの国営放送BBS(Bhutan Broadcasting Service)が,2月20日,地上テレビの衛星伝送を開始した。これにより,これまで地上放送が受信できなかった国内の広範な難視聴地域と40か国で視聴が可能となった。衛星は,インド宇宙研究機構(ISRO)が昨年末に打ち上げたInsat-4Aを使用している。BBSは,地上テレビの衛星伝送により,ブータン国内で現在受信可能な40を超える外国衛星チャンネルに対抗したいとしている。