放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

05.09.01韓国政府,赤字のKBSに初の国庫補助金支給へ

昨年638億ウォン(約70億円)にのぼる赤字を計上し,今年も700億ウォン近い赤字が見込まれている公共放送KBSに対し,政府は来年(2006 年),国庫と放送発展基金から合わせて152億ウォン(約16億7,000万円)余りの支援を行うことを決定した。KBSに国庫補助金が支出されるのは初めてのことである。9月21日,企画予算処(庁)と放送委員会,KBSがそれぞれ国会の文化観光委員会所属の野党ハンナラ党議員に提出した資料によると,企画予算処は,KBSの社会教育放送と国際放送送出費および老朽施設更新費として91億4,700万ウォンを国庫から,社会教育放送の番組制作費として放送発展基金から60億5,600万ウォンを支援するとしている。KBSは,今年5月,「25年間受信料が凍結されてきたことや広告収入の縮小」などを理由に計527億ウォン(約58億円)の国庫補助金支援を申請していた。KBSへの国庫補助金支給には野党ハンナラ党に強い反対論がある。

05.09.01中国,ネット情報の管理をさらに強化

中国の国務院新聞弁公室と情報産業省は 9月25日,「インターネット・ニュース情報サービス管理規定」を公布した。規定によると,インターネットでニュース情報サービスを行う事業者は,国の安全と公共の利益に反する内容を伝えることを禁止するとしている。そして具体的には,政府の宗教政策を批判するニュースや,「迷信」を広めようとするニュース,噂を広げたり抗議行動や集会を扇動したりすることで社会不安をあおるニュースなどを掲載することを禁じている。中国では情報産業省が7月10日までに国内のすべてのウェブサイトに登録を義務づけ,応じなかった 700のサイトを閉鎖するなど,最近ネットへの規制が強化されている。

05.09.01中国,自然災害の死者数を"機密解除"

中国の国家保密局と民政省は9月12日,8月から全国の自然災害による死者数とその関連資料について機密指定を解除したことを明らかにした。国家保密局では,自然災害の死者数の機密指定は過去の歴史的経緯から決められたことで,改革開放の深化によってこの規定は災害時の救援活動のニーズに応えられなくなったと説明している。

05.09.01台湾,「独立規制機関」設立問題で議会空転

台湾の立法院(国会に相当)は9月27日,メディアを管轄する現在の行政院(内閣)新聞局に代わって,独立性を高めたメディア規制機関となる「国家通訊伝播委員会」(NCC)の設立法案を巡る審議が行われたが,与野党がNCC委員の選出方法を巡って激しく対立し,空転の末やむなく散会となった。NCC委員の選出にあたっては,議会で多数を占める野党が議席数に比例した数の委員を各党が推薦する方式を主張しているのに対し,与党はそれでは政治色が強くなるとして,中立的な有識者による構成を主張している。

05.09.01マレーシアの第2有料テレビ,放送開始

マレーシアで2番目の有料テレビMiTVが9月5日,放送を開始した。MiTVの特徴は,地上波の UHF帯を使い,デジタル圧縮技術で多チャンネル放送を行っていること。スタート時の39チャンネルから,年末までに50に増やす計画で,当面は首都圏だけの放送網を2年以内に全国に広げる方針である。受信には専用セットトップボックスが必要で,加入者はテレビを見るだけでなく,インターネット接続や電子メールの送受信も行うことができる。同国の有料放送は,衛星放送ですでに 140万件の契約数があるAstroが先行している。

05.09.01パキスタン,放送事業者連合会が発足

パキスタンで,9月24日,テレビ・ラジオ局の業界団体パキスタン放送事業者連合会(Pakistan Broadcasters Association)が発足した。カラチで設立総会が開かれ,会の発起人で商業衛星テレビ局 GEO TVの代表でもあるミール・シャキルール・ラーマン(Mir Shakilur Rahman)氏が初代会長に選出された。業界団体設立の背景に,民間セクターへの放送事業解放で年々商業衛星テレビ局や FMラジオ局が増えている状況がある。同連合会は,放送事業者の行動規範作りを協同して進めたいとしている。