放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

05.07.01英商業テレビのFive,100%外資所有へ

1997年3月末に開局したイギリス5番目の地上商業テレビFiveは7月20日,ルクセンブルクを本拠とする欧州大手メディア企業のRTLグループに 100%所有されることで合意したことを明らかにした。Fiveの株は,英国メディア企業のUnited Business & Media(UBM)が35.4%,RTLが64.6%の所有だったが,RTLがUBMから2億4,700万ポンド(約494億円)で残りの株を買収した。これによって,イギリスの地上商業テレビ局が初めて100%外国企業に所有されることになる。

05.07.01仏公共放送,新会長にド・カロリ氏

フランスの規制機関CSAは7月6日,France Televisionsの新会長にド・カロリ氏を投票で選出し,同氏は8月22日に就任した。投票数全9票のうちド・カロリ氏が5票を獲得,2期目をめざしたテシエ前会長は3票にとどまった。ド・カロリ氏はジャーナリストで,番組司会者として著名なうえ,保守派で大統領府と太い人脈がある。一方前会長は左派政権時代に任命された。時の政権に近い人物が会長に任命される伝統が守られた形になった。

05.07.01独公共放送,W杯2010年大会の放送権獲得

公共放送のARDとZDFは,2010年に南アフリカで開催されるサッカー・ワールドカップ大会について,全64試合のうち46試合のドイツ国内での無料放送による生中継独占放送権,および全試合の映像を時間をずらしてニュースで放送する権利を獲得したと6月29日に発表した。生放送権には,ドイツ代表の全試合,開幕戦,準決勝,3位決定戦および決勝戦が含まれる。放送権料は約2億ユーロ(275億6,800万円)と推定されている。また衛星放送の Premiereは,全試合の有料放送による生中継放送権を獲得した。国際サッカー連盟FIFAは,2010年大会について,ドイツ,イギリス,イタリア,スペイン,フランスには,代理店を介さず,放送権を直接販売する方針を決めている。

05.07.01独外国向けGERMAN TV,政府交付金廃止へ

ドイツ連邦議会の文化・メディア委員会は6月29日,政府の財政難のため,公共放送のARD,ZDF,ドイチェ・ベレ(DW)が共同で実施する外国向け有料テレビチャンネルGERMAN TV(GTV)に対する2006年度の政府交付金を廃止する方針で合意した。GTVは,2002年4月からアメリカで始まり,カナダ,メキシコ,ドミニカ,チリでも放送されているドイツ語による報道・娯楽チャンネル。契約件数は約2万。財源として視聴者が払う視聴料金のほか,毎年510万ユーロ(約7億 300万円)の連邦政府交付金を受けてきた。

05.07.01伊RAI経営委員長,15か月空席後に後任決定

イタリア経済財務省は7月31日,RAIの経営委員会(CDA)委員長に議会のRAI監視委員会現委員長のクラウディオ・ペトルッチョーリ(Claudio Petruccioli氏,野党「左翼民主主義者」所属)を指名し,RAI監視委員会も全会一致で同意した。RAI経営委員会委員長は,前委員長のルチア・アンヌンツィアータ氏が政治介入を理由に2004年5月に辞任して以来,15か月の間,空席となっていた。

05.07.01伊RAI,2010年サッカーW杯放送権を獲得

公共放送RAIは7月1日,2010年のサッカー・ワールドカップ南アフリカ大会の放送権を1億7,500万ユーロ(約241億2,200万円)で獲得することで合意したと発表した。RAIの2006年ドイツ大会の放送権はイタリア代表戦などの部分購入だったが,2010年大会は全試合の放送権と2014 年大会の先買権を獲得した。

05.07.01欧州委,「国境のないテレビ」改正の考え方を公表

欧州委員会は,EU各国の放送法制・行政の共通原則を定めた1989年の「国境のないテレビ放送に関する命令」の改正作業を進めているが,7月12日,この改正に対する考え方を公表し,広く意見を求めた。欧州委は,青少年保護,広告の質的水準の維持,反論権関係の条項は,テレビ放送に限らず,オンラインサービスを含む他の映像サービスに拡大する。広告時間量や欧州作品の編成努力などテレビ放送固有の規則は,ストリーミング,ニア・ビデオオンデマンドにも適用し,ビデオオンデマンド,インターネットニュースサービスは対象外としたいとした。