放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

05.07.01電話会社の映像配信促進を目指した法案提出

アメリカでは,電話会社が映像配信サービスに乗り出す動きが広まっているが,6月30日,こうした動きを促進するための法案が上下両院に提出された。現状では,ベライゾンやSBCといった地域電話会社が映像サービスを行うには地方自治体から個別の承認を受ける必要があるため,両社は何千という個別交渉を省けるよう議会に働きかけていた。民主党議員が提出したこの法案は,自治体に払うフランチャイズ料金やアクセスチャンネルなどのサービス,また貧困地域を迂回しないなど,ケーブルテレビと同一の条件を電話会社に課すことで個別交渉の手間を省くとしている。

05.07.01米ディズニー 携帯電話市場に参入へ

ウォルト・ディズニー社は7月6日,子どもやその親に携帯電話を販売するため,自社ブランドの無線サービスによる携帯電話ビジネスに2006年から参入すると発表した。同サービスは「ディズニー・モバイル」と呼ばれ,加入者数で全米第3位の携帯電話会社スプリント社のネットワークを使って送られるが,コンテンツや電話機自体は自社ブランドを用い,販売や課金等もディズニー自身が行う。子どもの関心を呼ぶことで親の購買意欲に訴えようというこの戦略で,同社は携帯電話事業を強化したい考えである。

05.07.01米ブロードバンド利用者34%増加

FCC (米連邦通信委員会)は7月7日,アメリカにおけるブロードバンドの利用者数が一年間で34% 増加し,2004年末までに3,790万人に達したと発表した。このうちADSLの利用者が45%増の 1,380万人,ケーブルインターネットの利用者が 30%増の2,140万人となった。アメリカのブロードバンド普及率は世界第15位と遅れが目立っており,ブッシュ大統領は公約として2007年までに全国民が安価にブロードバンドを利用できるようなインフラの整備の推進を掲げている。

05.07.01ニュース映像のネット配信拡大へ

CBS は,7月12日からニュース映像のインターネット配信を強化した。これまでも限られた数のニュース項目の配信はあったが,今回の強化で,「アーリーショー」や「イブニング・ニュース」,「60ミニッツ」などの最新ニュースや過去の2万5,000本のニュースを無料でいつでも見られるようになった。それぞれのニュース項目の頭に15秒の広告が入り,CBSでは広告収入でネット配信を強化する方針である。アメリカではブロードバンドの普及に伴い動画配信が容易になり,インターネット広告が増大している。これまで有料サービスを行っていたABCやCNNも広告をつけたニュースの無料ネット配信を9月から行う予定だ。

05.07.01NAB会長,2009年アナログ停波を支持

NAB (全米放送事業者協会)のエディ・フリッツ会長は7月12日,上院商務委員会の地上デジタル放送促進法案に関する公聴会で,地上テレビのアナログ停波を 2009年と定めることを支持すると述べた。NABはこれまで,地上デジタルチューナー内蔵テレビ普及の遅れや,ケーブルテレビ事業者による地上波の多チャンネル再送信の拒否等を理由に,アナログ停波期日の明確化には難色を示してきた。しかし家電メーカーの団体などから,地上デジタル放送の普及を遅らせているのは NABだとする非難を受けていた。

05.07.01米TiVo社,ポップアップ広告機能を導入

アメリカのDVR(デジタル録画機)市場1位のTiVo 社は7月18日,新しくポップアップ広告機能を追加したと発表した。この機能では視聴者が早送り機能でコマーシャルを早送りするときに,広告画面が4分の 1の大きさで表示され,この画面をクリックすると製品の詳細な広告が視聴できる。新機能は当面,TiVoからソフトを直接ダウンロードしている120万台のDVRが対象で,衛星放送のDirecTVやケーブルテレビのSTBと一体となったタイプのDVRは対象になっていない。普及が拡大するDVRのユーザーによるCMスキップは,テレビ業界や広告業界で大きな議論の的になっている。