放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

05.06.01英BBC,新編集ガイドラインを発行

BBCは6月23日,これまで「プロデューサーズ・ガイドライン」の名称で使用してきた職員向け倫理基準を,名称・内容を一新し発行した。新しい「編集ガイドライン(Editorial Guidelines)」は,独立規制機関Ofcom(Office of Communications)が5月に発表した「有害コンテンツ」や「公正な取り扱いとプライバシー」など6つの主要な分野に関する放送コードへのコンプライアンスとメディア環境の変化に対応すると同時に,過去5年間にBBCが得た教訓をもとに改定された。改定の主要点は,「速さよりも正確さが重要であること」や「悲惨な事件・事故の報道では時差中継を考慮すること」など。

05.06.01仏,新しい受信料制度,見直しへ

フランスでは受信料制度が今年から改革され,春の所得申告の際,テレビ受像機を所有していない人はその旨を申告することになった。しかし,所有していないと申告した人が予想を大きく超える10%にのぼったため,制度の見直しが必要になったと,国民議会の予算関係の報告者を務めるマルタン・ラランド議員らが 6月6日,声明の中で発表した。10%にのぼった理由としては免除を受けていることを示そうとした,申告書の質問文を誤解した,または,支払いを逃れようとしたという3つが考えられる。なお,受信料収入が不足しても,公共放送機関の財源は保証される措置がとられている。

05.06.01伊,国民の94.7%がテレビを視聴

6月22日付け伊経済紙Il Sole 24 Oreが伝えた国立統計局ISTATの2003年度のメディア接触調査によると,3歳以上の人口の94.7%が週に少なくとも数日テレビを視聴していた。ラジオ聴取者は2002年度の62.8%から1.8ポイント上昇して64.6%だった。また6歳以上で,新聞を週に1回読んだ人は57.6%,パソコンは全人口の39.2%が使用し,11歳児人口の31.1%がインターネットを利用していた。

05.06.01独,第2位のケーブルテレビ事業者誕生

ヘッセン州のケーブルテレビ事業者iesyは,ノルトライン・ヴェストファーレン州のishを買収した,と6月24日発表した。この結果,合計約520万件の加入者をもつドイツ第2位のケーブルテレビ事業者が誕生した。連邦カルテル庁は,6月22日,この買収の承認に際して,現在約1,000万件の顧客をもつケーブルテレビ事業者Kabel Deutschland GmbH(KDG)と競合できる企業が生まれ,市場競争の活性化につながるとの期待を表明した。

05.06.01独ARDの番組で違法な広告手法

ARD の連続ドラマMarienhofとIn aller Freundschaftの中で,特定企業の製品をさりげなく写したり,ドラマの展開の中で特定企業の宣伝効果をねらう「プロダクト・プレイスメント」と呼ばれる広告手法が不正に行われていたことが,6月1日,メディア専門誌の報道で明らかになった。これを行っていたのは,ARD加盟の4つの州放送協会の子会社が過半数を出資する番組制作会社Bavaria Film社。ARDの委託を受けて制作したドラマ番組の中で「プロダクト・プレイスメント」を行う代わりに,報酬を受け取っていた。ドイツの放送法では,広告は,視聴者がはっきり広告であると認識できるものでなければならないとされ,特に広告主から報酬を受け取って「プロダクト・プレイスメント」を行うことは禁止されている。

05.06.01欧州委,フランスの国際ニュースチャンネルを承認

欧州委員会は,フランスで開設が計画されている国際ニュース専門チャンネル(CFII)が公的財源を利用して活動することについて,公正競争を目的とする EUの競争法の観点から承認できるとする見解を6月7日に示した。このチャンネルは公共放送フランス・テレビジョンと商業放送TF1が共同運営するもので,欧州委員会は,公的財源の新チャンネルが他の事業者の活動に悪影響を及ぼさないようにする仕組みが整っていると判断した。同委員会は,この仕組みとして,CFIIへの公的財源がフランス・テレビジョンやTF1に不正に流用されないこと,収入が必要コストを上回った場合には,翌会計年度の予算に反映することをあげた。