放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

05.04.01英地上商業テレビ最大手のITV,SDNを買収

イギリスの地上商業テレビ事業者の中で最大手のITV社は4月27日,地上デジタルテレビ放送のマルチプレックス(多重周波数帯)運営免許を所有する SDNを1億3,400万ポンド(約268億円)で買収したと発表した。SDNのマルチプレックスでは現在,地上商業テレビのFiveやウェールズ語専門のS4CのほかDiscoveryやCartoon Networkなど合計10チャンネルが送信されている。

05.04.01英BBCの総選挙報道,35%の視聴シェアを獲得

地上デジタルテレビ放送開始後2回目にあたるイギリスの総選挙当日(5/5)の報道でBBCは,メインチャンネルBBC ONEで,投票が締め切られる午後10時直前の9時55分から午前2時まで特番を組み,平均430万人,視聴シェアでは35%を獲得した。また,今回の選挙で初めて携帯電話向けのテキストサービスを提供した。また商業テレビITVと共同で出口調査を実施し,正確な予測情報を提供した。

05.04.01仏,デジタルラジオ開始に向け意見公募

地上テレビのデジタル放送が始まったフランスで,規制機関のCSAはラジオのデジタル化に取り組むことを決定した。CSAは4月25日,免許公募の前提として義務づけられている意見公募を開始した。意見公募には約30の質問があり,過去の実験から得られた成果,採用すべき経済モデルや技術規格,免許公募の実施方法などについて意見を求めている。意見受付の締め切りは6月30日とされた。CSAは,デジタル化による放送局数の増加やデータ放送,高音質,携帯受信・移動受信などの導入により,サービスの向上を期待している。

05.04.01伊・サルデーニャ州,2006年1月末に完全デジタル化

イタリア通信省と本土西部に浮かぶ島で成るサルデーニャ州,および地上デジタル放送推進協会DGTViは,4月16日,同州における地上アナログ放送を 2006年1月31日で停止し,地上デジタル放送に完全移行することで合意した。合意内容は,サルデーニャ州の5大都市を中心にデジタル化を進め,双方向公共サービスとセット・トップ・ボックスの普及助成策として,政府が約3,500万ユーロ,サルデーニャ州が約1,000万ユーロの予算を計上するなどというもの。また,通信相によると,北西部フランス国境付近の山岳地域ヴァッレ・ダオスタ州も,同時期に完全デジタル移行する予定だとしている。イタリアは全アナログ放送の中止時期を2006年末日と定めているが,この2州では,それを待たずにデジタル化される。

05.04.01独連邦・州政府,公共放送の役割と財源で欧州委に回答

欧州委員会は,公共放送の役割と財源の関係を明確にするよう,ドイツ連邦政府に3月に求めていたが,ドイツ連邦政府と各州政府は5月6日,欧州委員会に共同で回答を提出した。ドイツ側は,ドイツの公共放送は州の権限であり,欧州委員会が問題にしている「EC条約」上の国家援助にはあたらない,また過剰な財源保障もなくEU競争法に違反しないという立場を明らかにした。また,受信料財源によるスポーツの独占中継やオンラインサービスも公共放送の重要な任務であると擁護した。その上でドイツ側は,州間協定を改定し公共放送の任務の定義を今後さらに具体化する,商業活動についてより明確な規則を設けて財源の透明性を保障する,公共放送の意思決定機関である放送評議会や州の会計監査院の監督権限を強化するとし,欧州委員会の要望に沿う意向も示した。欧州委員会はドイツ側の回答を詳細に審査した後,正式な法的審査に入るかどうか決定する。

05.04.01欧州委の公共放送に関する要請,仏伊西が受諾

欧州委員会は,フランス,イタリアおよびスペイン3国の政府に対して,各国内の公共放送が,その使命達成に必要な額を上回る形で公的財源を保障されないようにする施策を2003年から要請してきたが,2005年4月20日,3国政府が欧州委の要請を受け入れたと発表した。欧州委員会によれば,欧州委の要請はイタリアでは国内法制の中に既に取り入れられており,スペインは公共テレビRTVEに対する無制限な公的財源保障策の廃止を決めた。また,フランスは2 年以内に欧州委の要請を実行すると約束した。