放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

05.04.01韓国,放送委が衛星DMBの地上波再送信を承認

韓国放送委員会は,4月19日,懸案となっていた衛星DMBの地上波再送信を,地上放送事業者の同意を前提に承認する方針を決定した。

05.04.01韓国,衛星DMBの商用サービス開始

韓国のTUメディアは,今年1月10日から,衛星を利用した移動体向けデジタル・マルチメディア放送「衛星DMB」の試験サービスを行っていたが,5月1 日,当初計画より少ない映像7チャンネル,音声20チャンネルで商用サービスを開始した。映像7チャンネルにはモバイル放送専用の「チャンネルブルー」も含まれている。

衛星DMBの本放送は,日本に続き世界で2番目だが,携帯電話兼用端末機向けでは世界初である。しかし,最大の懸案であった地上波再送信の実施に未だ時間が掛かりそうなことや,視聴に必要な端末機の価格が高額なこともあり,端末機の普及は,4月28日発表で携帯電話兼用端末機2万 4千台,車両用端末機2千台と余り進んでいない。

05.04.01台湾,中国の新華社など2社を締め出し

台湾当局は4月10日,中国の新華社と人民日報の2社について,「報道が非常に偏っている」などとして,1か月ごとに更新してきた台湾駐在の許可を当面与えない方針を明らかにした。台湾では2社の他に中国中央テレビ(CCTV),中国人民ラジオ,それに中国通信社が常駐記者を派遣しているが,この3社は引き続き記者の駐在が認められた。今回の措置について野党側からは「民主台湾のイメージを損なう」「中国との交流推進にマイナス」などとの批判が出ているが,与党側は「中国の『反国家分裂法』に反対する台湾の大多数の民意を無視し,自分に都合のいい対象だけを取材するようなメディアに善意を見せても利用されるだけだ」として当局を支持している。

05.04.01香港の有料衛星テレビ局に新たな出資者

香港の地上テレビ局最大手のTVBが100%株式を所有する有料衛星テレビ局Galaxy Satellite Broadcastingに,チャールズ・チャン氏とチャン氏が大株主を務めるRuili Holdingsが合わせて51%出資することになった。TVBは有料テレビの市場に参入する際に,行政当局から持ち株比率を49%以下にするよう義務づけられているが,Galaxyの経営が振るわない中で,51%を出資していたアメリカの大手通信会社インテルサットが去年秋に撤退を決めたことから, TVBでは新たな出資者を探していた。現在,香港の有料テレビ市場では,首位を行くケーブル事業者のHong Kong Cableと通信会社PCCWの系列のNOW Broadbandが激しく争っていて,後発のGalaxyの契約世帯は3万にとどまるなど苦戦が続いている。

05.04.01タイ,コミュニティー・ラジオ局の取締り強化へ

コミュニティー・ラジオが盛んなタイでは,PRD(総理府広報局)の監督の下で191局が放送を行っている(2004年8月現在)が,他のラジオ局と周波数が干渉しあうなど技術上の問題も起こっている。そこで,タイ政府は,4月28日,PRDの監視を強め,コミュニティー・ラジオ局を厳しく取り締まる方針を打ち出した。コミュニティー・ラジオ局の中には,PRDが定めた制限を超える強力な送信機(30ワット以上)や高い送信アンテナ(30メートル以上)を使っているところもあるという。

しかし,コミュニティー・ラジオは,これまで,政府からの干渉を受けやすいことが問題となってきた経緯があり,政府に批判的な放送も行っていることから,取締りの強化は言論統制につながると反発するラジオ局もある。

05.04.01アジアでは報道の自由が“受難”

パリに本部を持つ「国境なき記者団」は5月3日,アジアの一部の国では多くのジャーナリストが殺害・投獄され報道の自由が侵害されているなどとする,「2004年世界の報道の自由年次報告」を発表した。それによると,167の国・地域の中で,報道の自由のレベルでは北朝鮮が最下位,ミャンマーが165 位,中国が162位などとなっている他,2005年1月現在で投獄中のジャーナリスト107人のうち46人がアジアで投獄されている。