放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

05.02.01英政府,BBCの将来に関する緑書を発表

イギリスの放送を所管する文化メディアスポーツ相は3月2日,BBCの将来に関するグリーンペーパー(緑書)を発表した。これは,2006年末に満了する特許状の更新のため,2005年末を目途に発表予定の放送白書のたたき台となるものである。政府は,BBCの特許状の有効期間を10年間とし,この期間 BBCの財源を引き続き受信許可料とすることを決定した。一方,BBCの規制・監督方法については現状維持を認めず,現在BBCを監督する役割を持つ経営委員会を廃止し,「BBCトラスト(BBC Trust)」を新設,また,BBCの執行部に外部役員を導入する「特別理事会(BBC Board)」の設置など諸提案を行った。この緑書への意見募集は,5月31日に締め切られる。

05.02.01仏会計検査院,公共放送問題で政府に決定を要求

フランスの会計検査院は3月2日に公表した2004年版年次報告書のなかで公共放送に言及した。会計検査院は,公共放送は1999年から2003年までの間は黒字で,経営管理の面で改善が見られると評価した。しかし,政府が十分な財源を手当てできないでいるため,公共放送は,これまで10年も経ない間に3 回も戦略変更を余儀なくされたと指摘した。会計検査院は公共放送が財源不足状態に陥っていると警告し,政府は,公共放送の事業規模を見直して番組の質と多様性の面での目標値を下げるか,あるいは受信料を値上げするか,早急に決定すべきだと結論づけている。

05.02.01伊,サッカーPPVが地上デジタル用STBの普及を加速

ガスパーリ通信相は2月3日,民放MediasetとLa7が1月に地上デジタル放送で始めた国内サッカーのPPV(ペイ・パー・ビュー)の効果で, STB(セット・トップ・ボックス)の販売が格段に増えたと発表した。同相によるとSTBの販売台数は,2004年12月には月平均約4万台だったが, 2005年1月第1週で約1.7万,第2週で約3.1万,PPVが始まった1月22日を含む第3週だけで約5.7万と増え続け,月間で約15.7万台に上ったという。同相は地上デジタル受信世帯も,昨年末の約100万から,2005年末には300万になると予測している。

05.02.01独,プルミエールが株式上場

スポーツと映画を主なコンテンツとする衛星デジタル有料テレビ事業者プルミエールPremiere AGは3月9日,フランクフルト証券取引所に株式を上場した。ドイツのメディア企業の上場としては,1997年のProSieben社を超える規模の大型上場となった。プルミエールは旧キルヒ・グループの傘下で1996年夏にデジタル衛星放送を開始した。しかし多額の初期投資と加入者数の伸び悩みが, 2002年のキルヒ・グループ破産の主要因となったといわれる。その後,外部の資本参加により経営建て直しをはかり,2004年度に初めて黒字を計上した。契約者数は2005年2月時点で約325万件。オーストリアでも同様の有料放送サービスを行っている。また,今年11月からはHDTV放送を3チャンネルで実施する予定である。

05.02.01独ARD1,2004年テレビ年間視聴シェアで首位を奪回

ドイツの2004年テレビ年間視聴シェアで,公共放送ARD1が14.0%を獲得し首位を奪回した。2位はARDの地域向け放送ARD3の13.9%だった。前年首位の商業放送RTLは13.8%で,公共放送ZDFとともに3位を分け合った。以下,商業放送Sat.1の10.3%,ProSiebenの 7.0%の順。

05.02.01EU委,ドイツなど3か国の公共放送で見解

EU(欧州連合)委員会は,3月3日,ドイツ,アイルランド,オランダの3か国の政府に対して,各国内の公共放送事業者の役割と財源をEUの競争法の観点から明確にするよう求めた。同委は,とくに,各国における公共サービス使命の明確化,公共サービス活動とそれ以外の活動の会計の分離,公共サービスのための財源が過剰に保障されないことを要請した。またドイツとオランダには,公共放送事業者によるオンラインサービスの範囲と公的財源による実施は,伝統的な放送と同様に各社会の民主主義的,社会的,文化的ニーズに奉仕する場合に限って許されなければならず,この判断をするのは政府の役割であると指摘した。