放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

05.02.01公共テレビとケーブル,多チャンネル放送の再送信で合意

アメリカの公共テレビ放送協会(APTS)と全米ケーブル電気通信事業者連盟(NCTA)は,1月31日,ケーブル事業者が地方の公共テレビ放送局のデジタル多チャンネル放送を再送信する協定を結んだ。同協定によると,デジタルへの移行期間中,広帯域化をすませたケーブル事業者は,同一市場内の公共テレビ局1局の無料のDTV番組や関連データを最大4チャンネルまで,アナログ放送とともに再送信する。アナログ放送終了後は,同一市場内の全公共テレビ局のデジタル番組が,マルチ編成の場合4チャンネルまで再送信される。協定は公共局やケーブル事業者などの承認が必要で,実施まで半年余りかかる。現在356の公共テレビ局のうち302局がデジタル放送をしているが,ケーブル局の再送信はその3分の1に止まっている。

05.02.01衛星テレビ加入者増加し,ケーブル加入者は停滞

FCC (連邦通信委員会)は,2月4日,2004年6月までの多チャンネルテレビ市場の競争について年次報告書を発表した。それによると2004年6月のケーブルテレビ加入者は6,610万件で,前年同期に比べて0.08%しか伸びず,停滞気味である。これに対し衛星テレビの加入者は,2004年6月には 2,316万件に達し14%増加した。衛星放送事業者が地域テレビ局の放送再送信に力を入れていることが大きな理由である。また電話会社を含むブロードバンドでのテレビサービスの契約者は2004年6月に140万件で,多チャンネルテレビ市場でのシェアは1.5%,市場開拓が課題となっている。

05.02.01CNNニュース最高責任者,イラク関連発言で辞任

米CNNのニュース部門の最高責任者イースン・ジョーダン氏が,イラクで米軍に殺害されたジャーナリストについての発言の責任を取って,2月11日に辞任した。氏は1月27日,スイスのダボスで開かれた世界経済フォーラムのパネルディスカッションで「イラクで米軍がジャーナリストを狙い撃ちした」と語ったと伝えられ,インターネットのブログなどで,批判や罷免を求める声が高まっていた。ジョーダン氏は,辞任の発表文で「CNNが不当に傷つくことを避けるため辞任する」と述べたが,「自分は,米軍が偶発的にジャーナリストを死亡させたことを,悪意を持ってそうしたと言ったのではない」と弁明した。

05.02.01米通信最大手ベライゾン,MCIを買収へ

米地域通信最大手のベライゾン社は2月13日,米長距離通信第2位のMCIを約66億ドルで買収することで合意した。MCIは顧客1,500万を有し,以前はワールドコムという社名だったが,不正経理で経営が破たんし,2004年4月に会社更生手続きを済ませていた。アメリカの通信業界では,1月に地域通信第2位のSBC社が長距離通信最大手AT&Tを150億ドルで買収することに合意している。両社とも光ファイバーの敷設を急いでおり,ブロードバンドによるビデオ映像サービス(IPTV)でケーブル業界に戦いを挑むことになる。

05.02.01米下院,下品な放送への罰金強化法案を可決

米下院は,2月16日,下品な放送に対する罰金の最高額を過去最高に引き上げる法案を,389対38の圧倒的多数で可決した。現在,下品な放送に対しては放送局に1件あたり3万2,500ドル,出演した個人に対しては1万1,000ドルの罰金が科されるが,この法案では,一律で最高50万ドルに引き上げられる。米上院も同じような罰金強化法案を審議中だが,最高額などに違いがあり,立法化には双方の調整が必要となるが,ホワイトハウスはこうした法案への動きを強く支持している。

05.02.01カナダ公共放送CBC,地デジ放送3月開始へ

カナダの公共放送CBCは,2月24日,3月5日よりトロント市とモントリオール市でHD地上デジタル放送を始めると発表した。現行アナログチャンネルのサイマル放送で,ケーブルテレビや衛星放送でも視聴が可能となる。カナダでは,2003年に民放CTVが地上デジタル放送を始めたが,CBCは2004年 1月に免許を得て準備を続けていた。