放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

04.12.01イスラム系ケーブルチャンネルが放送開始

アメリカのイスラム系住民をターゲットにしたケーブルテレビ局「ブリッジズTV」が11月30日正午から放送を開始した。米国に拠点を置くこの種の全国放送局は史上初で,宗教的,政治的な偏向のないニュース番組や,トークショー,料理番組,子供向け番組等を英語で放送する。同チャンネルは,衛星放送の Globecast Satellite社やブロードバンド・サービスを通じて配信され,12月中にはケーブルテレビ最大手のComcastもデトロイト地区で配信を開始する。同局のムザミル・ハッサン社長は,米国民のイスラム系住民についての理解や,イスラム系国民の地位確立に貢献したいと話している。イスラム系住民は現在,米国内におよそ700万人いて,人口増加率が年率6.2%と,全米平均の0.9%を大きく上回っており,今後10年間で1,500万人まで増加すると見られ,放送ビジネスの有望市場とされている。

04.12.01FCC委員長,「下品な表現」規制は正当と主張

FCC (米連邦通信委員会)のマイク・パウエル委員長は12月3日付ニューヨークタイムズ紙に投稿し,放送事業者が視聴率獲得のために「下品な表現」を含む官能主義的な内容の放送を続ける限り,連邦政府による規制は必要であると述べ,FCCによる規制強化の正当性と合法性を強調した。パウエル委員長は,下品なコンテンツの規制はFCCの責務であり「言論の自由と規制のバランスを保ちながら,法に従い(規制を)続けていく」としてFCCの方針を再確認している。 FCCは2004年2月にNFLの試合のハーフタイムショーでCBSが下品な中継をしたとして総額55万ドルの罰金の支払いを命じているほか,Foxが 2003年4月に放送したバラエティ番組での放送内容についても,史上最高額となる118万ドルの罰金の支払いを命じている。Fox側は「下品」ではなかったと異議を申し立てている。

04.12.01FCCエーデルスタイン委員,さらに5年の任期更新

FCC の民主党系委員の一人,ジョナサン・エーデルスタイン氏が,12月6日,任期を5年間更新することになった。エーデルスタイン氏は,2002年12月,空席となっていた民主党系委員の席を埋める形で就任した。2003年6月,FCCは規制緩和を目指した新しいメディア所有規則を発表したが,同じ民主党系委員で先輩格のマイケル・コップス氏と二人で反対し,賛成するパウエル委員長ら3人の共和党系委員と鋭く対立した。二人は,全国各地で自主公聴会を開き規制緩和反対運動の先頭に立った。2004年6月,フィラデルフィア連邦高等裁判所が下した判決は市民グループの主張を大幅に認めて規制緩和に歯止めをかけたが,FCCは最高裁への上告を目指し,2005年もメディア所有規則は委員間の大きな争点となっている。

04.12.01世界のジャーナリスト殺害,過去10年で最悪に

ニューヨークに本部を置くNPOであるCPJ(Committee to Protect Journalists,ジャーナリスト保護委員会)の12月10日の発表によると,2004年に取材中に殺害されたジャーナリストの数は世界で54人に達し,過去10年で最悪の年となった。特にイラクでは発表時点までに23人のジャーナリストが死亡しており,2003年の13人を大きく上回った。イラクで死亡したジャーナリストは,イラク系の記者が多く,ほとんどがアメリカか西欧の報道機関に雇用されていた。イラクの次に危険とされたのはフィリピンで,発表時点までに8人のジャーナリストが殺害されている。

04.12.01アメリカの高速インターネット利用者3,200万人に

FCC は12月22日,アメリカの高速インターネットサービスの利用者が3,200万回線に達したと発表した。FCCは,200kbps以上の接続を高速インターネットと分類している。発表によると2004年6月現在,利用者は前年の2,350万から38%増えて3,250万回線になった。内訳は,ADSLが 1,140万,ケーブルモデムが1,860万,衛星放送や無線,光ファイバーが250万となっている。このうち,一般住宅や小規模ビジネスでの利用回線は 3,010万で,対前年同期で46%伸びた。