スペイン公共放送、ガバナンスと財源をめぐる模索

公開:2017年10月1日

ヨーロッパで公共放送の組織と財源を見直す動きが相次いでいる。そうした中、スペインでも公共放送改革の動きが始まった。スペインの公共放送は、全国放送機関と地方放機関が併存する独特な制度となっている。国内に多様な言語や文化を有し、地方の自治意識が強いスペインでは、地方の公共放送は地方のアイデンティティーを象徴する存在でもある。しかし、近年は大手商業放送局による市場の寡占化が進み、公共放送全体の影響力が低下している。そうした中、公共放送への政治の介入を排除し、国民の信頼を取り戻すための法改正の動きが本格化した。しかし、独裁政治の歴史が長く、テレビも国営放送の時代が続いたスペインでは、今でも公共放送を政府の放送と同一視する意識が残っているとされ、それが公共放送をめぐる最大の課題だとも指摘されている。公共放送のあるべき姿をめぐって模索を続けるスペインの現状からは、公共放送が民主主義に根ざしたものであり、人々の関心や理解に拠って立つものであることが改めて理解できる。

メディア研究部 斉藤正幸

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