アメリカで「ポッドキャスト」が再びブームになっている。中でも公共ラジオNPRは、多様なコンテンツを制作し、それを全米に配信し、さらに人材を育成するなど、ポッドキャストをめぐる動きの中心になっている。新設されたCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)のトーマス・ヘルム氏は、ポッドキャスト人気について「テクノロジーの進化に加え、“storytelling(物語、語り)”の力が見直されている」と語る。
NPRは政治や経済、映画、音楽など30を超えるポッドキャストを提供しているが、そうした多彩な内容を聞くことのできるのがスマートフォンアプリの『NPR One』。「Listen」では最新のニュースやリポートを提供し、「Explore」では過去の様々なコンテンツにアクセスすることができる。NPR Oneで重視されているのが、“フィルターバブル”に陥らないことである。フェイクニュースが増加し、社会の分断が加速する中、バランスのとれたコンテンツを提供するNPRの存在意義は大きい。
ポッドキャストはラジオ局だけに限ったものではない。New York Timesはトランプ政権をウォッチングする毎日のポッドキャスト『The Daily』を2月に開始。記者の“息づかい、人間くささ”が伝わり、評判を呼んでいる。また、Washington Postは週一回、『Can He Do That?』を制作、配信。非営利ニュースメディアのCIR(Center for Investigative Reporting)も新たなコンテンツ配信の手段としてポッドキャストを使うなど、注目が集まっている。