NHK文研フォーラム2017

2016年米大統領選挙にみるアメリカのテレビメディアの変容

~最新報告 ネットと融合した巨大情報空間~

公開:2017年6月1日

2016年米大統領選は、メディアが情報発信するプラットフォームを拡大し、デジタル空間での映像ニュースをめぐる競争がアメリカで本格化する契機になった。この競争には新聞やデジタルメディア、ソーシャルメディアやYouTube等のプラットフォーム事業者など、テレビ以外のメディアも入り乱れて参入している。こうした中でアメリカの大手テレビメディアは、選挙期間中にデジタル空間で様々な実験を行って新たな経験や知識を積み重ねるとともに、リーチ(=接触)を伸ばす等の成果を収めることができた。しかし、成果を収めることができた要因として大統領選というコンテンツの力に負うところが大きかったことに加えて、デジタルで展開を増やしても大きな収入にならないという課題が浮き彫りになり、将来に懸念を残す形となった。アメリカでは、ニュースを入手する経路がデジタルにシフトしつつあり、モバイル機器で入手する人が急激に増える傾向にあることから、新聞をはじめとする伝統的なメディアの多くが財政難に陥っている。このため、2017年には、アメリカでメディア企業の経営の統廃合など、業界再編の動きが加速すると予想される。

メディア研究部 藤戸あや

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