「7割弱」は,70%よりも少ない? 多い?

公開:2023年11月1日

Q
「7割弱」「7割強」という言い方は、実際にはどのくらいの数値を表すのでしょうか。
A
「7割弱」は「7割よりも少し少ない」、「7割強」は「7割よりも少し多い」として解釈するのが伝統的です。しかし、これとは異なるとらえ方も、特に若い人たちを中心に、少なからず見られるようです。

「~弱」「~強」は、国語辞典では次のように示されています。

ある数の端数を切り上げたとき、示す数よりは少し、不足があることをいうために、数字のあとに付けて用いる。

ある数の端数を切り捨てたとき、示す数よりは少しあまりがあることを示すために数字のあとに付けて用いる。

(『日本国語大辞典(第二版)』)

これに当てはめると、「7割弱」は【70%未満の数値】であること、そして「7割強」は【70%よりも大きい数値】であることになります。

一方、現実としてはどのように解釈されているのでしょうか。「7割弱」「7割強」という表現について、その数値の範囲を自由に回答する形式での調査をおこなってみました。

まず「7割弱」の【■■%から】については、いちばん多かったのは【65%から】という回答で32%でした。そして【■■%まで】については、【69%まで】で42%でした(図1)。

また「7割強」についてもっとも多かった回答は、それぞれ、【70%から】の回答が40%、そして【75%まで】の回答が22%となっていました(図2)。

このように、「7割弱」は【65%から69%まで】、「7割強」は【70%から75%まで】というあたりの解釈が、現状ではもっとも典型的なものと言えるでしょう。

その一方で、「7割弱」について、伝統的な解釈とは合致しないはずの【70%から】という回答も10%あることが、目を引きます。この回答を年齢別にみたところ、20代ではこの回答の割合が特に多い〔19%〕ことがわかりました(図3)。どうも、若い人の中には、「7割弱」を「7割と、ちょっと」というように解釈している人も、けっこういるようなのです。

関連して、「1時間弱」ということばの解釈についてかつておこなった調査でも、若い人にこれと同じ傾向が見られていました。

(https://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/20171001_3.html)

また、「7割強」の解釈に関して、20・30代では全体平均にくらべて「上振れ」しているようすが見られます。試みに「「7割強」は【75%から】」という回答を年代別に示してみたのが図4です。

これは、若い層では「7割弱」は70%よりも大きい数値だと認識されていることに伴って、それに押し出される形で、「7割強」の数値の解釈範囲が「上振れ」したものだと推定されます。

このように、特に若い人たちの間では、「7割弱」「7割強」いずれも、伝統的な解釈よりほんの少し「高め」の数値でとらえられているようです。今後、この「高め」の傾向が年齢を重ねても維持されていくのか、あるいは加齢とともに低くなっていくのかは、今はわかりません。でも、人生の目標は若いころは「高め」に設定しておくのがよいと、かつて若かった者の一人としては思ったりします。

メディア研究部・用語 塩田雄大

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