サケ? シャケ?

公開:2021年12月1日

Q
「サケの塩焼き」「シャケの塩焼き」、どちらがよいでしょうか。
A
どちらでもかまいません。放送で使うときの一番のおすすめは「サケ」で二番目に「シャケ」ということになっていますが、あわせて、この魚を「動物の一種」として言及する場合には「サケ」で、「食材」としてとらえる場合には「シャケ」と言い分ける傾向もみられます。

<解説>

サケとシャケは、むかしから両方の形が使われてきています。1867(慶応3)年に出た『和英語林集成(初版)』という和英辞典には、SAKE(サケ)とSHAKE(シャケ)の両方が載せられています(SHAKEの項には”Same as Sake”と記されています)。また、シャケは「なまった形」であると感じられていたようで、1889・1890(明治22・23)年の『私版日本辞書言海』[第二冊・第三冊]にも「さけ」と「志やけ」が両方載せられていますが、「志やけ」の項には「さけノ訛」と記されています。また放送でどちらを使うかについては、放送のことばについて議論する放送用語委員会で、1935(昭和10)年に2回、1938(昭和13)年に1回話し合われ、最終的に「サケ(シャケ)」と決まったという記録があります(これは「サケを基本とするがシャケでも可」といったような位置づけだと思います)

このように、どちらかというとサケのほうが「正しい形」というようにとらえられてきているのですが、その一方で、これを「食材」としてとらえた場合にはシャケと言い分けるような傾向もあります。2021年6月におこなった調査の結果では、「○○が泳いでいる」と言う場合にはサケが圧倒的に多く、「○○の切り身」と言う場合にはシャケのほうが多いという結果が出ました。なお関東では、この2問とも、シャケの回答が全国平均に比べて多くなっています。

サケ・シャケのように「動物」として扱う場合と「食材」として扱う場合とで言い方を変える傾向のある例については、2012年11月のこのコーナーで取り上げたことがあります。

 

動物

食材

うし

ぎゅう(「牛ステーキ・牛のレバー」など)

ぶた

とん(「とんカツ」の「とん」など)

にわとり

かしわ(西日本各地での言い方)

英語では、cow(動物)とbeef(食材)、pig(動物)とpork(食材)などを厳密に言い分けますが、日本語ではそこまではっきりとではないにしても、「ぎゅう・とん・かしわ」などを「動物」に対して使うことはほとんどないと思います。
 いろいろと書いたのですが、どうでしょう、おわかりいただけたでしょうか。サケの話だけに、イクラ書いても書き足りません。

※ 塩田雄大「カタクルシイ女・カタグルシイ男」『放送研究と調査』2001年9月号

メディア研究部・放送用語 塩田雄大

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