「爪痕(つめあと)を残す」

公開:2021年1月1日

Q
最近、「爪痕を残す」を良い意味で使う人がいるが、悪い意味の時に使う表現ではないだろうか?
A
「爪痕を残す」を、「印象づける」といった意味で使う人もいますが、「おかしい」と感じる人もいるので注意が必要です。

<解説>

「爪痕(つめあと)」について、「大辞林(第4版)」は、「①爪でかいた傷あと。②災害や事件などが残した被害のあと」という2つの意味を載せています。「爪痕を残す」という表現は、「今回の台風は、県内の農業に大きな爪痕を残した」というように、ニュースでも使われます。この場合の「爪痕」は、「災害や事件などが残した被害のあと」という意味です。

しかし、最近では、「爪痕を残す」を、「印象づける」「成果をあげる」といった、良い意味で使う人もいます。「この大会で爪痕を残して、自分をアピールしたい」「今回の出演で、爪痕を残すことができた」といった発言を、スポーツ選手や芸能人がするのを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

このような「爪痕を残す」の使い方について、一般の人たちがどう感じているか、調査してみました。すばらしい演技をした場合に、「今回の出演で爪痕を残すことができた」と表現することについて、どう思うか聞いたところ、「おかしい」と答えた人が全体の40%、「おかしくない」が37%、「どちらともいえない」「わからない」が、あわせて23%でした。

これを、年代別で見てみると、20代では「おかしい」が18%と割合が低く、「おかしくない」が62%だったのに対して、50代では「おかしい」が49%、「おかしくない」が33%でした。このように「爪痕を残す」を良い意味で使うことについては、年齢によっても、受け止め方が異なる傾向があり、若い人に比べて、年齢が高い人のほうが、「おかしい」と感じる人が多いことがわかります。

「爪痕を残す」は、本来は、災害などに使われることが多いことばです。使う場面を間違えると、「変な〝爪痕〟を残してしまった・・・」と後悔してしまうかも。気をつけましょう。

メディア研究部・放送用語 中島沙織

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