「さん」の付け方

公開:2020年9月1日

Q
「川端康成」に「さん」を付けて、「川端康成さん」とすると、なれなれしすぎるような変な感じがする。放送で、著名な故人を紹介する場合、死後、いつまで「さん」を付けるべきだろうか。
A
「さん」は、名前のあとに付いて、敬意や親しみの気持ちを表します。明確な基準はありませんが、生前のことをリアルタイムで知っている、つまり、その人が活躍する姿が人々の記憶に残っている場合は、「さん」を使うことも多いようです。一方で、その人の業績に注目し、客観的に伝える場面では、存命中の人でも、あえて「さん」を付けない場合もあります。

<解説>

「さん」は、名前のあとについて、敬意や親しみの気持ちを表す敬称です。しかし、自分の実生活とは直接関わりのない、客観的な存在、例えば、歴史上の人物などには、「さん」を付けず、呼び捨てにするのが一般的です。「さん」を付けるのは、その人の生前の姿が、多くの人の記憶に残っている場合や、その人に特別な親しみを感じている場合になります。

「さん」を使わなくても、○○総理大臣や、○○医師など、名前の後ろに付ける肩書きがある場合は、その肩書きで紹介することができます。しかし、作家や俳優など、名前の後ろに付けづらい肩書きもあり、その場合、名前の後に「さん」を付けるべきか迷うようです。

一方、ドキュメンタリー番組などで名声が高い人を客観的に紹介する場合、存命中であっても、あえて呼び捨てにすることで、ほかの人とは違う特別な感じを出すこともあります。

著名な故人を紹介する場合、「さん」を付けることで親しみを強調することもできますし、「さん」を使わずにあえて呼び捨てにして、特別な感じを出すこともできます。放送で、その人物の何を伝えたいのか、よく考えた上で選ぶといいでしょう。

メディア研究部・放送用語 中島沙織

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