「切り目」「切れ目」の使い分け

公開:2019年8月1日

Q
包丁で料理の材料に筋を入れるような場合「切り目を入れる」「切れ目を入れる」どちらだろうか。
A
どちらも同様に使われており、大きな意味の違いはありません。料理番組では、「筋」の意味では「切り目」を使い、「状態」を指す場合には「切れ目」を使う場合もあるようです。

<解説>

A.「切り目」は、他動詞五段活用「切る」の連用形に接尾辞である「目」がついたもので、「切れ目」は自動詞下一段活用「切れる」の連用形に同様の「目」がついたものです。「目」は「その箇所であること」を表します(『大辞林第3版』)。

それぞれの語の意味のうち、料理で使われるような場合の意味は『大辞林』に次のように掲載されています。

  1. 「切り目」
  2. 物の表面に切ってつけた傷。また、切り口
  3. 「切れ目」
  4. 物の途中で切れている所。

なお、こうした意味のほか、どちらの語にも「物事の区切り」という派生した意味があります。

もとになる動詞が「切る」か「切れる」かといった違いによって、「切った部分」「筋を入れる」ような場合には「切り目を入れる」とし、「切れた状態」になっている場合に「切れ目が入っている」などと区別されて使われる場合もあるようです。

料理に使われる語には「切り身」「切り口」「切り込みを入れる」などの「切り○○」の語が見られます。「切り込み」に対して、「切れ込み」という語もあります。この語にも「切り目」「切れ目」と同様に両方の語形が見られます。料理番組や料理雑誌などでは、「切った部分をつくる」場合は「切り込みを入れる」と言いますが、「切れ込みを入れる」という言い方はあまり使われないようです。

メディア研究部・放送用語 山下洋子

※NHKサイトを離れます