「クーラー」? 「エアコン」?

公開:2019年6月1日

Q
「暑いからクーラーかけようか」と言ったら、一瞬、その場に寒い空気が漂いました。
A
部屋を冷房する設備の呼び名としては、このごろは「クーラー」よりも「エアコン」のほうが一般的になっているようです。ですが、「クーラー」が「死語」になったわけではありません。

<解説>

まず「クーラー」は、文字どおり「冷やすもの」です。つまり、冷房機能のみを備えた装置のことを指すもので、暖房機能はありません。

一方「エアコン」は「エアーコンディショナー」の略で、空気の温度や湿度を調整する機能がある装置です。冷房・暖房の両方ともできるのが一般的です。

つまり、「クーラー」は冷房専用、「エアコン」は冷暖房両用というわけで、この2つはもともと違うものを指すことばです。

暖房に関して言うと、「エアコン」の暖房機能はかつてよりも進化してきています。冬でもストーブやこたつなどを使わないで「エアコン」だけで過ごすという家庭も多くなっています。「クーラー」ではなく「エアコン」を備える家が、多くなっているのです。

こうした事情もあって、ことばの上でも、冷房機能を備えた装置のことを「クーラー」ではなく「エアコン」と呼ぶことが多くなっているのだと考えられます。

「クーラー」と言うか、あるいは「エアコン」と言うかをめぐっては、年代差があります。全国調査の結果では、60歳以上の年代では「クーラー派」もある程度多いのですが、それより下の年代では「エアコン派」の勢力がかなり強くなっています。この背景には、装置としての「エアコン」の一般化が関係ありそうです。

また、地域差もあります。おおむね、関西・中国・四国・九州沖縄では「クーラー派」も多いのに対して、それ以外のところでは「エアコン派」が主流になっているようです。なぜこのようになっているのでしょうか。比較的温暖な関西・中国・四国・九州沖縄では暖房機能をそれほど使わないため実際に「クーラー」を備え付けている家も多いのに対して、冬にかなり寒くなる地域では暖房機能が必要なので「エアコン」を設置していると思われることが、関係しているのかもしれません。

おい、これが「ことば」の問題なのか、単に装置としての「エアコン」の普及状況の違いの反映にすぎないんじゃないかい、という考えもあるかもしれません。しかし、私たちはふだん、そこにある装置の機能が「冷房専用」なのか「冷暖房両用」なのかを考えない状況で「クーラー」あるいは「エアコン」と言っているのではないでしょうか。それなのに調査の結果このような年代差や地域差が出るということは、やはり「ことば」の問題としてとらえてもよいのではないかと思います。いかがでしょうか。だめですか? ではちょっと頭を冷やしてきます。

(2018年9月実施、1,202人回答[サンプル数4,000、有効回答率30.1%])

メディア研究部・放送用語 塩田雄大

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