「2019年」の読み方

公開:2019年1月1日

Q
「(西暦)2019年」は「ニセンジューキューネン」か「ニセンジュークネン」か?
A
どちらも間違いではありません。
NHKの現在の基準では、読みは「ニセン・ジュークネン、(許容)ニセン・ジューキューネン」となります。

<解説>

「9年」を放送でどう読むか(「ク」と読むか、「キュー」と読むか)については、これまでも「平成9(1997)年」「平成19(2007)年」のときに、問い合わせが多く寄せられました。そのときには以下のように読むこととしました。

「平成9年」の場合   「①クネン②キューネン」

「平成19年」の場合   「①ジュークネン②ジューキューネン」

そして、現行の『NHK日本語発音アクセント新辞典』では、「9年」関連の読みとアクセントを以下のように示しています。

「9年」   クネン許容キューネン

「19年」   ジュー・クネン、ジュークネン、許容ジューキューネン

「29年」   ニジュー・クネン許容ジュー・キューネン

「59年」   ゴジュー・クネン許容ゴジュー・キューネン

つまり「9年」の読みは、「クネン」が基本で、「キューネン」も「許容」として認める、というのがNHKの基準になっています。したがって、「2019年」の発音とアクセントは、以下の様になります。

「2019年」 ニセン・ジュー・クネン、 ニセン・ジュークネン、
        許容ニセン・ジューキューネン

もともと、数字の「9」の読み方には、和語読みの「ココノ(ツ)」と漢語読みの「キュー」「ク」があります。現代では、このうち和語読みの「ココノ(ツ)」は、「ひとつ、ふたつ、みっつ、…」と和語で数え上げていく場合や、「9日」「9つ」「九重」など限られた語でしか使われません。数詞や助数詞との組み合わせで使われるときには、もっぱら漢語読みが使われ、中でも「キュー」が主流です。しかし、組み合わさる助数詞などによって、慣例的に「ク」の読みが使われる場合があります。放送で基準とする数字の発音が明記されている『NHKことばのハンドブック第2版』(pp.331~363)でも、「9」の読みは、ほとんどが「キュー」となっていますが、「年(ねん)」「月(がつ)」「時(じ)」「時限」「段(段位)」「人(にん)」など限られた助数詞が付く場合に、「ク」の読みをとる(あるいは推奨型とする)とされています。質問の「2019年」の「年」も、この「ク」の読みを推奨する助数詞にあたります。

ただ、こうした助数詞は、例えば、「9か月」(キューカゲツ)と「9月」(クガツ)のように、数量を表す場合と順序を表す場合とで、「キュー」と「ク」で読み分ける傾向があります。同じ「2019年」でも、例えば「2019年かけて地球にやってきた宇宙船」というように、「年数」を伝える場面がもしあったとしたら、「キュー」の読みのほうがより自然に感じられるのではないでしょうか。また、数が大きくなるほど「キュー」のほうがしっくりくるという人も多いようです。

数字の「9」の読みは、明治期には「ク」が使われていましたが、そのころから「キュー」も使われ始め、その後併用され、現代では、「キュー」の読みが主流になりました(城岡2012)。歴史的に「ク→キュー」という変化の傾向がある中で、「年」などの限られた助数詞が付く場合は、さまざまな理由から、「ク」と「キュー」の間で、読み方がゆれているのが現状です。語の組み合わせや文脈によっては「キュー」のほうがなじむ場合もありそうです。放送上も、「ク」を推奨型としつつも、あわせて「許容」の読みの「キュー」も認めているのはそのためです。場面に合わせて、どちらかふさわしい読みを選べば問題ないと言えるでしょう。

(参考文献)城岡啓二(2012)「日本語の基本数詞のナナ化とキュー化について : 言語変化資料の整理と考察」
人文論集63(2), pp.109-148, 静岡大学

メディア研究部・放送用語 滝島雅子

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