「先生は、おられますか」は、間違い?

公開:2017年5月1日

Q
「先生は、おられますか」という言い方は、敬語として間違いでは?
A
「おられる」という言い方は、謙譲語の「おる」と尊敬語の「れる」を一緒に使っているという理由で誤りだとされることもあるため、放送では使わないようにしています。ただ、「おる」の語感には地域差・個人差があり、間違いとまでは言えないでしょう。

<解説>

間違いとは言えない理由には、いくつかあります。まず、書きことばでは、「おる」は「~しており」などのようにも使われ、敬語(謙譲語)というより、「いる」の改まったことばづかいだと考える人もいます。そのような語感では、尊敬語の「れる」をつけても、問題ないことになります。また、「おる」は、特に西日本で「いる」の代わりに使われる地域があります(「あした、いる?」→「あした、おる?」など)。その場合は、「おる」は敬語ではなく普通のことばとして使われるので、尊敬語の「れる」がついた「おられる」も抵抗なく使われます。「おられますか」について、6割前後の人が「敬語が正しく使われている」と回答したという調査結果もあります(「国語に関する世論調査」(文化庁))。

<「総務の武田さんは、どちらにおられますか」について>

  正しい 正しくない
平成9年 64.4% 30.0%
平成16年 58.3% 30.3%

【平成9年度・16年度「国語に関する世論調査」(文化庁より)】

しかし、この結果からは、誤用と考える人も3割はいることがわかります。また、「先生は心配しておられたよ」という言い方に関して聞いた調査では、結果は以下の様になっています。

<「先生は心配しておられたよ」>

  気になる 気にならない
平成10年 43.1% 51.8%

【平成10年度「国語に関する世論調査」(文化庁より)】

以上の結果から、「おられる」ということばについては、「3~4割」程度の人が違和感を持っていることがわかります。「「おる」は謙譲語である」という教育的効果によって、「おる」を相手に用いたり、「れる」をつけて尊敬語にしたりすることは正しくないという意識が強くなりつつあるのではないかと指摘する専門家もいます。そのため、通常の放送では、「おられますか」は使わず、「いらっしゃいますか」「おいでになりますか」などの表現を使うようにしています。
(参考文献)坂本 惠「謙譲語「おる」の丁寧語化」『みんなの日本語事典―言葉の疑問・不思議に答える―』(明治書院 2009)

メディア研究部・放送用語 滝島雅子

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