[カショ]の表記

公開:2015年9月1日

Q
[カショ]の表記には、「箇所」「個所」「か所」「カ所」「ヵ所」「ケ所」「ヶ所」などいろいろありますが、どのように使い分けたらいいのでしょうか?
A
放送では、「故障のカショ」などのときには「箇所」、「3カショ」のように助数詞として使うときには「◯か所」とひらがな表記することにしています。

<解説>

「箇所」「箇条書き」の「箇」は、昭和21年に内閣告示された当用漢字表に掲載された漢字で、その後、昭和56年の常用漢字表(旧)、平成22年の常用漢字表(新)に引き継がれて現在に至っています。このため、法令・公用文書や多くの出版物でこの漢字が使われてきました。しかし、NHKと新聞協会では、昭和29年以降、半世紀以上にわたって「箇」に代わりに「個」という字を使っていました。「個」という字に[カ]という読みを独自に認めて、「個所(かしょ)」「個条書き(かじょう)」としていたのです。しかし、平成22(2010)年の「常用漢字表」の改定にあわせて、独自使用の「個」の音「カ」を削除するともに、「箇所」を使うことになりました。

このように表記にずれが生じたのは、昭和29年に当時の国語審議会が、「箇」を削除して「個」で代用するとした「当用漢字補正資料」を作成しましたが、これが単なる案にとどまって当用漢字が変更されなかったことが背景にあります。

 

なお、「3カショ」「3カジョー」のように、助数詞として使う場合には、放送では慣例により「3か所」「3か条」とひらがな表記をすることにしています。ほかに、「3カ所(条)」「3ケ所(条)」「3ヵ所(条)」「3ヶ所(条)」もありますが、辞書の多くがそれぞれの使い方を認めており、こうした表記も一般にはよく使われています。このうち、「ケ」「ヶ」については、カタカナのように見えますが、実は、「漢字の『个』(「箇」の略字)又は「箇」の「タケカンムリ」の1つを採ったものが符号的に用いられてきたもの」(『言葉に関する問答集(総集編)』文化庁)です。

メディア研究部・放送用語 滝島雅子

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