教育テレビ60年 学校放送番組の変遷

公開:2019年1月30日

1959年1月,日本初の教育専門局として開局したNHK東京教育テレビジョンは,2019年1月で60年を迎える。その開局時に最も長い放送時間を占めたのが学校放送番組である。

本稿では教育テレビ60年の歴史の中での学校放送番組の変遷を,およそ20年ごとに3つの時代に分け,「社会状況・教育政策」「放送技術・メディア環境」「番組編成」「番組内容(構成・演出)」「番組利用・番組研究」の5つの視点で分析する。

第1期にあたる1959年から70年代の約20年は,テレビ学校放送番組の拡大期である。

映像の特性を生かしてどんな教育番組が放送できるのか,テレビ学校放送番組の開始にあたってさまざまな試みが行われた。この時期の学習指導要領で「系統性」が重視されたこともあり,学校放送番組も各学年,教科への対応が進められ,放送時間も拡大していった。放送番組の利用研究が進むとともに,利用方法の論争も生まれた。

第2期にあたる1980年代から90年代は,放送教育の隆盛と転機の時代といえる。

1980年代になるとVTRが広く一般に普及していく。番組制作ではVTRロケが容易になり,家庭よりVTR普及が早かった学校現場では録画利用が可能になったことで,番組の利用率も増えていった。一方で,市販ビデオの普及,学校へのコンピューター導入などが進められ,「ナマ,丸ごと,継続」という放送教育の考え方も転機を迎える。

第3期にあたる2000年以後は,放送とインターネットの連動期になる。

2000年代はデジタル化により高画質の番組と,データ放送で付加情報が送れるようになった。さらにインターネットとの連動により,放送番組だけでなく動画クリップの提供も可能となった。学習指導要領も「総合的な学習の時間」の導入など多様化する中,テレビ学校放送番組も放送回数や番組時間数を柔軟に編成するようになり,演出も「オープンエンド」や「セグメント」などさまざまな手法がとられるようになる。従来の放送教育に加え,視聴覚教育,情報教育も含めたメディア教育としての研究が広がってきている。

総合的にテレビ学校放送番組の歴史を記述することで,今後の教育メディアの方向性を考える。

メディア研究部/宇治橋祐之

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