調査研究ノート

NHK編集・発行『放送史』の歴史的視点と変遷

~放送100年の歴史を考えるヒントを探る~

公開:2018年5月1日

日本の放送は、7年後の2025年には放送開始から100年を迎える。本稿の目的は、過去にNHKが刊行した『放送史』がどのように叙述、編集されたのかを分析し、この100年をどう総括し、叙述するのか、というヒントをえることである。

本稿では戦後、NHKが放送の歴史を包括的にまとめた4つの『放送史』に焦点をあてる。1951年刊『日本放送史』(通称25年史)、1965年刊『日本放送史』(通称35年史)、1977年刊『放送五十年史』、2001年刊『20世紀放送史』の4冊である。

これらは以前に発行された『放送史』に、新しい時代叙述を単に追加するだけでなく、放送の始まりからの「通史」として新たに叙述、編集しなおしている点が注目される。

このことは、各『放送史』がそれぞれ、放送をどのようにとらえ、多くの事象を整理し、分析するにあたりどこに重点をおき、どういう軸をもって全体の歴史を叙述するのかという考え方が異なっていたということを意味する。本稿ではこれを各『放送史』の「歴史的な視点」として位置づけて考察した。『放送史』の各「視点」の違いによって、具体的な叙述がどのように変化していったのか、その変遷を追う。

これによって、『放送史』における視点の重要性を示し、放送100年における歴史考察の手かがりとしたい。

メディア研究部 吉田 功

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