シリーズ 戦争とラジオ 〈第1回〉

国策的効果をさらに上げよ

同盟原稿はどう書き換えられていたのか(後編)

公開:2017年9月1日

前編に引き続き、戦時ラジオ放送におけるニュース編集を分析する。前編では、1943年9月のニュース原稿を分析したが、後編ではまず、1944年9月に編纂されたニュース編集の教科書、『放送報道編集例』を分析する。これにより、当時の報道部が、どのような書き換えをどのような意図の下に行っていたのかを知ることができる。

さらに、「国策的ニュース編集」が日中戦争が始まる頃には始まっていたことを実証しつつ、盧溝橋事件を報じるニュースについて分析する。

また、本稿では、『放送』や『放送研究』などに載った報道部員の論文・コラムから、彼等が「国策的ニュース編集」に取り組む姿勢の経年変化を検証してゆく。検閲を乗り切るために始められた「国策的ニュース編集」だったが、太平洋戦争期になると、それは自らの仕事の目的・やりがいとなっていった。逓信省・情報局の指導・検閲方針は、報道の現場で内面化されていったのである。しかし、戦争末期になると、その姿勢は再び揺らぎ始めることになる。

メディア研究部 大森淳郎

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