【放送のオーラル・ヒストリー】

「テレビ美術」の成立と変容

(3)"人"を(こしら)える人たち―メイク,かつら,衣装

公開:2015年1月1日

テレビとともに生まれた「テレビ美術」がどのように成り立ち、変遷してきたかを、関係者の証言をもとに読み解くシリーズ「テレビ美術の成立と変容」の第3回。「“人”を拵(こしら)える人たち」と題して、番組出演者を役柄に合わせて創り上げる美術業務(メイク、かつら、衣装)を取り上げる。ドラマ制作現場を中心に、それぞれの業務の成り立ち方、技術の継承の仕方等について、テレビの草創期からこの業務に関わった担当者に、現場の様子や仕事にかける思いを語ってもらった。ハレーション止めから始まったテレビのメイクは、その後、そのノウハウをNHKがけん引して発達させていった。かつら、衣装は、先行する映画、舞台で培われた技能と資産を存分に活用した。生放送で始まったテレビの美術は、映画と舞台の中間とも言えるようなテレビ独自の発達をしていったこともわかった。テレビが還暦を超えた現在、放送技術の革新や制作環境の変化は、特に時代劇を中心にドラマの制作様式に波及し、これまでのスタイルと新しいスタイルとの間に軋轢が生まれた例もある。いまやオールドメディアとなったテレビには、これまで培ってきた財産は守りつつ、新たな挑戦が求められているように思われる。

メディア研究部 廣谷鏡子

※NHKサイトを離れます

全文を見る PDF(690KB)