韓国,KBS受信料の徴収方法を変更へ

韓国の大統領室は,公共放送KBSの受信料の徴収方法を変更することを決定し,今後,具体的な手続きを検討することになった。

KBSの受信料は,放送法により「テレビ受像機を所持している者」に支払い義務があり,1994年からは,韓国電力が電気料金とともに徴収している。ただ,放送を見ていなくても受信料の支払いが必要となるため,「視聴者の選択権を制限する不合理な制度ではないか」という声があり,大統領室では3月9日から1か月間,国民から賛否の意見を募集していた。6万件弱の回答の結果は,分離徴収についての賛成意見が96.5%だった。

大統領室関係者は結果について,「国民の意思に従い,確実に制度を見直す」と述べている。具体的には,韓国電力の受信料徴収業務を規定している放送法施行令の見直しが検討されている。あわせて,規制監督機関の放送通信委員会も,受信料徴収制度の改善に向けた検討を進めることになった。

KBSは,分離徴収となれば受信料収入は半分以下に減り,徴収費用は2倍以上に増えると予測している。また,「国際放送,障害者向け放送,クラシック音楽放送などの公共サービスが縮小される」との懸念を示している。野党の「共に民主党」も,「受信料を武器に公共放送を支配しようとしている」と政府を批判している。

KBSは40年以上据え置かれた受信料の引き上げを求めており,2022年10月には野党が放送法改正案を国会に提出していた。そのさなかに分離徴収の議論が巻き起こったことで,公共メディアの将来像にいっそう注目が集まっている。

ナム・スルギ/ 小山里司

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