石川県の馳浩知事が定例会見開かず 地元テレビ局とのトラブルが発端

石川県の馳浩知事が,これまで月に1回のペースで開いていた定例の記者会見について,3月に続き4月も開かないという異例の事態が続いている。馳知事は,2022年10月に全国公開されたドキュメンタリー映画『裸のムラ』(石川テレビ製作)で,県職員の映像が無断で使用されたと主張。石川テレビの社長に定例記者会見への出席を求め,その場で議論したいという意向を示した。これに対し,石川テレビは「肖像権侵害にはあたらず,当社が主催する記者会見以外に社長が出席することはない」として応じない考えで,両者の言い分が相容れないまま,定例会見が開かれていない。一方で,新年度の抱負を述べた4月4日の臨時記者会見など,4月に3度の会見に臨み,その場で,記者がなぜ定例会見を開催しないのかを知事にただすという状況が続いている。

2022年3月に初当選した馳知事は,定例記者会見の実施を知事選で公約の1つに掲げていた。今回の事態について,新聞労連や民放労連などで作る日本マスコミ文化情報労組会議は同月21日,声明を発表し,「そもそも記者会見は県民に向けて行われるもの」としたうえで,「『定期的に開催する』と知事選で公約した会見の機会を一方的に閉ざすのは,県民の『知る権利』を侵害する行為そのものだ」と非難し,早急に定例記者会見を再開するよう求めた。またメディア側に対しても「当の石川テレビをはじめ,県内の各放送局はこの問題をあまり報じていない」などと指摘し,「報道機関は一致して事態の打開に向けて行動すべきだ」として奮起を促した。

濵田考弘

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