創刊100年超の『週刊朝日』,月刊誌『Journalism』が休刊へ

週刊誌市場が縮小する中,朝日新聞出版は1月19日,創刊100年を超える『週刊朝日』を2023年5月末で休刊すると発表した。

『週刊朝日』は1922(大正11)年に創刊し,日本最古の総合週刊誌とされる。政治や社会問題だけでなく,司馬遼太郎氏の歴史紀行「街道をゆく」や山藤章二氏の「ブラック・アングル」など人気の連載を抱え,1950年代の発行部数は100万部以上あったが,2022年12月の平均発行部数は約7万部にまで落ち込んでいた。朝日新聞出版は「今後はウェブのニュースサイトや書籍部門に,より一層注力していく判断をしました」などとコメントしている。

朝日新聞出版は,ほかにも月刊誌『Journalism』を3月で休刊すると発表しているが,新聞,放送,ネット,出版が直面する問題について,報道関係者や学識関係者らが執筆する論考は,デモクラシーの危機が指摘される中でジャーナリズムはどうあるべきかを示す良質な議論の場としても機能していただけに,メディア研究の末端に身を置く者として寂しいかぎりだ。

販売部数や広告費が縮小し,出版業界では紙からデジタルへの転換が進む一方で,ネット上の言論空間は健全とはいえない状態が続いている。朝日新聞出版は「もう一つの週刊誌『AERA』は,『AERA dot.』との連携を強め,ブランディング強化をはかっていきます」としているが,デジタルシフトが出版業界の生き残り策となり得るのか,注目していきたい。

熊谷百合子

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