フジテレビドラマ『silent』がTVer見逃し再生数記録を大幅更新

2022年12月22日に最終回が放送されたフジテレビ系列のドラマ『silent(サイレント)』が,民放公式テレビ配信サービスTVerの見逃し再生数記録を大幅に更新した。

10~12月にかけて木曜夜10時に放送された『silent』は川口春奈さん主演のラブストーリーで,脚本は新人の生方美久さんが手がけた。平均世帯視聴率(関東地区)は,全話を通じて1桁台だったが,TVerの第1話配信後1週間の再生数は443万回で,21年放送の『ミステリと言う勿れ』(フジ系列)の約350万回というそれまでの記録を更新。その後も第2話で489万回,第4話で582万回と再生記録を大幅に更新した。さらにTVer独占エピソードを含む1週間の再生数は1,000万回を超え,舞台となった小田急線世田谷代田駅やタワーレコード渋谷店が多くの若者の訪れる“聖地”となるなど,社会現象を巻き起こした。

また『silent』は,Tverの同時配信(リアルタイム視聴)でも週1回放送のレギュラー番組の中で1位だった。TVer側は,第5話の放送直前まで第1~4話を無料配信したことで,あとからドラマを知った視聴者の囲い込みに成功し,見逃し配信の視聴者が“泣けるドラマ”の最新話を“1人で見たい”とリアルタイム視聴に移行したと分析するが,同時配信の比率は小さく,見逃し配信が大半だという。

視聴率に代わる新たな指標として重視されつつある見逃し配信のデータは,テレビドラマの制作や配信サービスにどんな変化をもたらすのか。今後の動きに注目したい。

熊谷百合子

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