日本ファクトチェックセンター設立,ネット上の誤情報・偽情報を検証

インターネット上の言論空間の健全性を向上させるため,ヤフーやネット関連企業などで作るセーファーインターネット協会が10月1日,ファクトチェック機関の「日本ファクトチェックセンター(略称JFC)」を設立した。

総務省のプラットフォームサービスに関する研究会の報告書などで,インターネット上に流通する誤情報・偽情報,特にSNSでの個人の投稿について対処する必要性が指摘されたことなどが設立のきっかけ。運営委員長に京都大学の曽我部真裕教授が就任するなど,委員会には憲法・法律の専門家が名を連ね,運営資金としてグーグルが2年間で最大150万ドル,ヤフーが年間2,000万円を提供する。

実際にファクトチェック作業を行う編集部では,元朝日新聞記者でグーグルニュースラボのフェローなどを務めた古田大輔編集長らの監修のもと,独自に定めたガイドラインに従って学生ボランティアがチェックし検証記事にまとめる作業を始めた。10月末の時点で17本の記事を公開した。

ファクトチェックの対象からテレビや新聞を外していることから,SNSなどではJFCに批判的な意見もあった。しかし,今回の取り組みはネット上の言説に対し,プラットフォーム側が責任を持って対処する第一歩と肯定的に捉えるべきと考える。一方,テレビや新聞こそファクトチェックの対象にすべきだという意見については,まさにメディア自身の問題であり,メディアはそうした厳しいまなざしが注がれていることを常に忘れてはならない。

上杉慎一

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