NHK「経営計画」修正案発表,地上・衛星契約ともに受信料1割値下げへ

10月11日,NHKは経営計画(2021-2023年度)の修正案を発表し,2023年10月から,地上契約と衛星契約の受信料をともに1割値下げする方針を示した。地上は1,100円,衛星は1,950円とし,親元等の扶養に入る一人暮らしの学生も原則免除を打ち出した。

修正案では,現在NHKが取り組むスリムで強じんな組織を目指す業務改革の進捗状況も報告された。訪問によらない営業に転換して経費を155億円削減したほか,業務の見直しにより,2023年度までに事業支出を550億円削減することが示された。改革が計画どおり達成する見通しが立ったことから,今回の値下げの実施に踏み切ったとしている。

値下げには1,500億円の繰越金が充てられる想定だ。繰越金はこのほか,①情報空間の健全性担保のための投資,②日本のコンテンツ業界の人材育成,③民放との連携によるインフラ維持コストの低減,などに充てるとした。③は現在,総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」で議論されているもので,700億円が充てられる想定である。

修正案ではこのほか,2024年3月末に,現在2波あるBS右旋の2K放送のうち1波を停波し,2K1波,4K1波体制とするとした。

前田晃伸会長は会見で,「物価高が続く中,少しでも視聴者の負担軽減につながればという思いで(中略)踏み込んだ還元策とした」「公共メディアであるNHKが果たすべき社会的役割は一層高まっていく(中略)。NHKを本当の意味でのスリムで強じんな組織に変えたい」と語った。

村上圭子

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