「ブルーレイにも課金?」文化庁パブコメ 私的録音録画補償金制度,波紋再び

8月23日,文化庁が「私的録音録画補償金制度」の対象機器に,デジタル放送専用のブルーレイディスクレコーダーを追加する政令案の意見募集(パブリックコメント)を開始し,波紋を呼んでいる。

私的録画の補償金制度は,デジタル録画機器の普及が進む1999年に始まった。著作権法上,家庭等でのテレビ番組の私的な録画は自由に行えるが,デジタル録画は,アナログ機器より高画質で,コピーの氾濫が権利侵害につながるとして,放送番組に関わる権利者団体が制度の導入を強く要望。補償金相当額をDVDや録画機器の販売価格に上乗せし,補償金徴収と権利者への分配を行うため,私的録画補償金管理協会(SARVH)が創設された。

当初から制度に反対姿勢だったメーカーは,コピー回数を制御する「ダビング10」などの技術を導入。次第に制度の存在理由が疑問視されてゆく。さらに2012年,最高裁は,デジタル放送専用録画機器の補償金支払いを拒否した東芝に賠償を求めるSARVHの訴えを棄却。これにより,コピー制御を伴うデジタル専用機器は補償金の対象外となった。制度は機能を失い,2015年にSARVHは解散した。

補償金制度復活を目指す今回の政令案に対し,録画機器メーカーなどで組織する電子情報技術産業協会(JEITA)は「合理的理由が示されていない」「司法判断が蔑ろにされ」たなどと反対を表明した。インターネットでの動画視聴が一般化し,「テレビ離れ」が進む中で,録画機器をめぐる世紀をまたいだ論争が,再燃の兆しをみせている。

大髙 崇

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