自民党情報通信戦略調査会の「放送法の改正に関する小委員会」は8月24日,寺田稔総務相に第三次提言を提出した。内容は,①NHKの業務の在り方,②受信料の見直し,③メディア所有規制等の柔軟な見直し,④魅力あるコンテンツ制作,⑤設備コストの抑制,⑥同時配信等への安全・円滑なアクセス,の6点である。
①は,NHKのネット活用業務について現在の補完業務の位置づけを本来業務化するかどうかを検討すべき,という内容である。これについては,9月から総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(在り方検)」でワーキンググループが立ち上がる予定である。②の受信料については,2015年の第一次提言を受け,在り方検の前身の「放送を巡る諸課題に関する検討会」で,ネットのみの視聴でも受信料を負担するイギリス型,全世帯に負担を求めるドイツ型を検討した経緯があったが,今回は「国営放送と誤解されない徴収方法」にとどまった。
今回の提言は,その多くが在り方検で議論中の内容であったが,議論から一歩踏み込んだ文言もあった。2点挙げておきたい。1点目は,総務省に対し,広域局で地域の情報量が手薄であるという指摘を踏まえた制度設計を求めたことである。2点目は,経営ガバナンスに対してである。放送局は本業以外の有価証券等への投資が多いとの指摘があるが,国の成長に貢献するためのコンテンツ制作への投資を増やすことに期待するとした。
提言を受け,在り方検はどんな議論をしていくのか,注目していきたい。