英ロイター『デジタルニュースリポート』,"特定ニュースを回避する人増加傾向"

イギリスのオックスフォード大学にあるロイタージャーナリズム研究所は6月15日,2022年の『デジタルニュースリポート』を発表した。調査は46の国と地域の18歳以上の9万3,000人余りを対象に,2022年1月下旬から2月上旬にかけて行われた。

それによると,毎年調査している「ニュースへの信頼」は,新型コロナウイルスの感染拡大の中で行われた2021年の調査で,情報の重要性が認識され信頼が高まる傾向がみられていたが,今回は21か国で低下に転じた。「ニュースはおおむね信用できる」と答えた人の割合は最高のフィンランドで69%,最低はアメリカとスロバキアの26%,日本は44%だった。

また,政治など特定のニュースを避けようとする人が増える傾向にあり,ロイター研究所は,これを「選択的ニュース回避」(selective news avoidance)と呼んで注目している。その割合は世界平均で38%と,5年前から9ポイント上昇し,特にブラジルでは54%(+27ポイント),イギリスで46%(+22ポイント)と急上昇した。理由として,▼政治や新型コロナウイルスなどの扱いが多すぎる(43%),▼気分に悪影響がある(36%),▼ニュースの量に辟易する(29%),▼ニュースは信頼できない/偏向している(29%),だった。また,数は少ないものの,「ニュースについていくのが難しい」との答えも若者を中心に8%を占めた。

ロイター研究所は,「報道機関が大事だと思うテーマこそが視聴者・読者を遠ざけている状況は,ニュース関係者に難しい課題を突きつけている」と分析している。

税所玲子

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