カタール断交解消でAl Jazeeraに変化

サウジアラビアなどアラブ4か国は1月5日に開かれた湾岸協力会議(GCC)首脳会議で,3年半にわたり断交していたカタールと国交を回復させることで合意した。イラン包囲網を強めたいアメリカの仲介に応えた形だが,カタール政府が出資する衛星放送局,Al Jazeera(AJ)の今後にも関心が集まっている。

サウジアラビアやUAE,エジプトなどは2017年,「テロ支援」を理由にカタールと国交を断絶し,経済封鎖を解く条件として,イランとの関係縮小などとともに,アラブ諸国の政治体制を批判するAJの閉鎖を要求していた。

AJは,閉鎖要求はばかげていると反論し,2018年,トルコで起きたジャーナリスト殺害事件ではサウジアラビア皇太子の関与を報じ続け,イランの核開発問題では「1発の核爆弾も持っていない」と擁護する報道もみられた。しかし,今回の首脳会議では,「イランが湾岸地域の安全を揺るがしている」というサウジアラビア皇太子の発言や評論家の意見をトップで伝えるなどの変化が注目された。SNS上ではAJの豹変ぶりを指摘する投稿が相次ぎ,国の外交政策に左右されていると揶揄(やゆ)する声に対し,AJは「報道の独立性は常に確保されている」としている。

一方,サウジアラビア資本のAl Arabiyaやエジプトのメディアなどは,アメリカ関連の別のニュースをより大きく取り上げた。国交回復については最小限の論評にとどめ,カタールの出方を見守る必要があるという慎重な姿勢を示した。サウジアラビア遮断されていたAJのウェブサイトなども,1月末時点では,まだアクセスが回復されないままとなっている。

吉村寿郎

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