恋愛リアリティーショー『テラスハウス』,出演者死亡,フジテレビ放送中止へ

フジテレビの番組『テラスハウス』に出演していたプロレスラーの22歳の女性が,5月23日に亡くなった。SNS上では,番組での女性の言動を非難する投稿が相次いでおり,誹謗中傷を苦に自殺したとみられている。

『テラスハウス』は,2012年にフジテレビの地上波で放送を開始,2015年からはNetflixを通じて約190か国に配信され,国内外で高い人気を集めてきた。シェアハウスで複数の男女が共同生活を行い,そこでの恋愛や自己実現に向けて模索する様子を記録するという仕立ての,恋愛リアリティーショーと呼ばれるジャンルの番組に属する。このジャンルは,2000年前後に欧米で広がり,出演者は一般の人か売り出し中のタレントなどで,台本は一切なしというのが大きな特徴だ。その一方,制作者による演出は綿密に行われるため,出演者のどこまでが演技でどこからが本気なのか,その境界が曖昧なことがドラマとは異なる魅力となって,若年層を中心に多くの視聴者を惹きつけてきた。ここ数年,SNSの発展で,誹謗中傷を受けた出演者が自殺するケースも各国で報告されており,出演者のケアも求められていた。

フジテレビは5月27日,番組の今シーズンの収録と放送中止を,同月29日には「出演者の心の在り方という大変デリケートな問題(中略)について向き合う私どもの認識が十分ではなかった」という遠藤龍之介社長のコメントをそれぞれ発表した。また,総務省ではネット上の誹謗中傷の投稿者を特定する仕組みの見直しの議論を本格化するとしている。徹底した検証と再発防止策が求められる。

村上圭子

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