TBS『消えた天才『の映像早回し,BPOが「放送倫理違反があった」

TBS系のバラエティー番組『消えた天才』で,少年野球のピッチャーの投球やフィギュアスケートのスピンなどの映像を早回しし,実際より速く見えるよう加工して放送した問題について,BPO放送倫理検証委員会は2月13日,放送倫理違反があったとする「意見」を公表した。

この番組は,著名アスリートがかつて敵わなかった“天才選手”のその後の人生を追うという内容で,2019年8月11日に放送された野球のリトルリーグと,2018年1月3日放送の卓球とフィギュアスケート,同年11月4日放送のサッカーのコーナーの映像が問題となった。

委員会によると,それぞれのコーナーでは“天才選手”の凄さを印象づけるために,投球やスピンなどの映像を,実際より15~56%早回しする加工をしていたという。

TBSでは,リトルリーグの回の放送を見ていたスポーツニュース部のスタッフが,当時12歳だった少年の投球が速すぎると感じたことがきっかけとなり,内部調査が実施された。その結果,計4件の映像の早回し加工が判明,同局のウェブサイトで告知するとともに,番組の終了を発表した。こうした同局の自主・自律的な対応について,委員会は「極めて迅速で適切だった」と評価した。

しかし,視聴者に対して「実際の映像」と言いながら,またはそう受け取れる状況で,早回し加工が繰り返されたことについては,「映像の加工であれ,事実を曲げる手法は過剰な演出と言われてもやむをえない」と認定。民放連の放送基準などに抵触しており「放送倫理違反があった」と判断した。

塩田幸司

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