V-Lowマルチメディア放送「i-dio」,放送終了へ

地デジ後に空いたVHF帯域を活用した新放送サービス「i-dio」を運営するジャパンマルチメディア放送(JMB)などは,12月25日,2020年3月末をもってサービスを終了すると発表した。JMBを設立したエフエム東京がこれ以上の事業継続は困難という判断をしたためで,2016年7月のサービス開始からわずか4年弱で終了することとなった。「i-dio」が提供してきた主なサービスは3つ。①「高音質なデジタルラジオ」として,アナログでは実現できなかったハイレゾコンテンツなどを提供。②「IoT時代のデータ放送」としては,カーナビやデジタルサイネージのデータの一斉更新を行うといった模索を続けてきた。③「安心・安全」については,災害時も輻ふくそう輳しない放送波を生かした自治体向けの防災情報伝達サービス(V-ALERT)を展開してきた。

従来型の放送サービスの高度化であった①は,視聴者が受信に新たな端末を必要とすることなどもあり,広告収入が伸び悩んだ。②③は,放送波をこれまでと異なる形で活用する事業者向け(BtoB)の新サービスだったが,ビジネスとして花開くまでには至らなかった。ただ③については,自治体の関心が高く,3市ですでに導入し,複数の自治体でも導入の動きが進んでいた。JMBは,自治体の方針が決まるまでサービスを継続することにしている。

地上デジタル開始後に新設されたマルチメディア放送の早期終了は,これで2つ目になる。事業者の取り組みの検証も必要だが,放送政策の検証も不可避だと思われる。引き続き考察していきたい。

村上圭子

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