NHK,かんぽ生保の番組報道をめぐり会長会見

かんぽ生命の保険の不適切な販売問題を取り上げたNHKの番組『クローズアップ現代+』をめぐる一連の報道に対し,NHKは,10月3日,上田良一会長の定例の会見で初めて見解を明らかにした。

この問題は,『クローズアップ現代+』が2018年4月,「郵便局が保険を"押し売り"!?郵便局員たちの告白」というテーマで放送したあと,SNSで情報提供を呼びかけるショート動画をウェブサイトに掲載,同年8月の続編放送に向けて取材を進めていたところ,日本郵政グループ側から動画削除要請などの抗議が繰り返され,その「抗議や申し入れに屈して」放送を延期したのではないかと毎日新聞が報じたものである。その後も同様の報道が相次いだ。

また,NHKの説明などによると,2018年9月,日本郵政グループ副社長が経営委員長代行を訪問,NHKのガバナンス体制について説明を求め,10月には経営委から会長が厳重注意を受けた。翌11月には,放送総局長が日本郵政グループに出向いて会長名の文書を手渡したが,これらの対応にも批判がなされていた。ちなみに続編が放送されたのは2019年7月だった。

上田会長は,2018年8月に続編を放送しなかったのはその時点では「十分に取材が尽くされていない」との判断で,同月にショート動画の公開を終了したのも「一定の役割を終えた」ためとした。また,日本郵政グループに文書を提出したのは「編集権について番組担当者が説明した内容が不十分だったため」で,NHKの「自主・自律や番組編集の自由が損なわれた事実」はないと述べた。

村上圭子

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