"視聴者が広告放送と疑いを抱く",長野放送にBPOが放送倫理違反の判断

長野県のNBS長野放送が2019年3月に放送した働き方改革に関する番組について,BPOの放送倫理検証委員会は10月7日,「放送倫理違反があった」とする「意見」を公表した。

問題の番組は,『働き方改革から始まる未来』というタイトルで3月21日に放送。長野放送が企画・制作に関わらない「持ち込み番組」で,提供は長野県内の社会保険労務士法人1社だったが,正味28分の放送の間,この法人のCMはいっさい入らなかった。

ところが,番組では,法人の名前が頻出,法人を主語にしたナレーションも目立ったほか,番組の最後に法人の代表が「またご縁をいただければ」などと述べ,問い合わせ先として法人の電話番号も表示されていた。

これらをふまえ,委員会は,番組全体が法人のPR色が強く,どこまでがスポンサーの意向から独立した内容なのか見分けがつきにくいとして,「視聴者が広告放送であるとの疑いや誤解を抱くのも無理はない」と認定した。

そのうえで,長野放送は,民放連の放送基準が示す「広告放送であることを明らかにしなければならない」という規定や「視聴者に『広告放送』であると誤解されないよう,特に留意すべき」との留意事項に照らした適正な考査を行わなかったとして,番組に「放送倫理違反があった」と結論づけた。

番組と広告との関係をめぐり,BPOが委員会決定を出したのは初めてで,"ステルスマーケティング"の問題などが議論される中,今回の「意見」は,放送における広告のあり方に一石を投じるかたちとなった。

塩田幸司

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