仏,「公共放送負担税は廃止すべき」公共予算担当大臣の発言が論議呼ぶ

フランスで公共セクターの予算を担当する大臣が,受信料にあたる公共放送負担税を廃止すべきだと発言し,論議を呼んでいる。

フランスでは受信料制度が国の税体系の中に組み込まれ,公共放送負担税として税当局が住居税とともに一括徴収している。

一方,停滞する経済への対応策の一環としてマクロン政権は住居税を廃止する方針を打ち出し,4月3日,2022年度での廃止を議会下院に提案した。この際,住居税と連動して徴収されている公共放送負担税をどうするのかが未解決の課題として残った。

この問題で3月29日,商業放送テレビ局BFMTVの番組でジェラルド・ダルマナン行動・公会計大臣は公共放送負担税について,「(支払っていなくてもスマートフォンなどで放送コンテンツを視聴できるなど)不公平で現状に適合していない時代遅れの制度で,真っ先に廃止すべき税だ」と述べた。

これに対してメディアを管轄するフランク・リステール文化大臣は3月31日,公共放送France 3の番組に出演し,「問題なのは,公共メディアがこの国に必要かどうかであり,私の答えは「ウィ」だ。公共メディアサービスの財源は,永続的で政治勢力からの独立を保障するものでなければならない」と発言して公共放送負担税の廃止に反対した。結果として,政府内でこの制度のありようについての方向性がまだ固まっていないことを露呈する形となった。公共放送負担税は,2018年度には約38億ユーロ(約4,700億円)が徴収され,6つの公共放送機関に主な財源として配分された。

新田哲郎

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