EU,デジタル放送対応カーラジオの搭載を義務化

EU域内で12月20日,欧州デジタル単一市場戦略の一環として,既存の電気通信規制関連の4つの指令を改正し,かつ統合した指令「欧州電子通信法典」が発効した。この指令は,第5世代移動体通信や次世代高速ブロードバンド網の迅速な普及と競争環境の整備を主な目的としているが,国境を越えたデジタルラジオ放送の利用促進という,放送サービスに関わる新しい規律も含んでいる。

新指令は,EU域内のどの国で車を購入しても,またどこを車で移動していても,利用者が車内でデジタルラジオ放送を利用できるよう,今後,EU域内で製造される乗用車に搭載されるカーラジオは,地上デジタルラジオ放送を受信できなければならない,とした。ただし,FMラジオの搭載が禁止されるわけではない。現在,イギリスでは新車の約90%がDABまたはDAB+方式の地上デジタルラジオ放送に対応した受信機を搭載している一方,ドイツでは約40%,フランスでは約20%と各国でばらつきがある。全EU加盟国は,今後2年以内にこの規律を国内法化しなければならない。

また新指令は,各加盟国の判断で,カーラジオ以外のラジオ受信機に関しても,同様にデジタル受信を義務づける規制を国内で導入してよいとした。ただし,ごく安価な受信機や,スマートフォンなどラジオ放送受信を主な目的としない機器については,規制の対象から外すことが条件とされた。イタリアはすでに2017年12月に,2020年以降販売されるラジオ受信機にデジタル受信を義務づける法律を成立させたほか,ドイツとフランスも同様の規制を検討中である。

杉内有介

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