香港,独立派政党の講演を主催した英記者のビザ更新を香港政府が拒否

香港の外国記者会(FCC)の副会長として,2018年8月に香港独立派の代表を招請して講演会を開催したフィナンシャルタイムズのVictor Mallet記者が,業務ビザの更新を香港政府から拒否されたことが10月5日の香港メディアの報道で明らかになった。

この問題は,Mallet氏が,香港の中国からの独立を主張する香港民族党の陳浩天代表幹事を会員向けの講演会に招請し,中国政府が「国家分裂の扇動罪をほう助した」などとして激しく反発しているもので,FCCは「政府の対応が報道や言論の自由を損なうことを憂慮する」と反論していた。

Mallet記者は,その後まもなく期限がきた業務ビザの延長を申請したが,フィナンシャルタイムズによると,香港政府は理由を示さないまま,ビザの更新を拒否したという。

今回の香港政府の決定について,FCCや香港記者協会,それに民主派の立法会議員らは8日,香港政府の林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官に対する請願を行い,Mallet記者のビザ更新が認められなかった理由を明らかにするよう求めた。これに対して香港政府は一貫して「個別の事案にはコメントしない」と表明しているが,香港メディアは政府関係者の話として,理由はMallet記者が「香港にとって貢献がある」という業務ビザの審査基準を満たさなかったためだとしている。

この問題に関してはイギリスに加えてアメリカ議会なども香港の「報道の自由」擁護に重大な関心を寄せていて,香港政府は米中関係悪化の中で,対応に苦慮している。

山田賢一

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