中国,外国の娯楽番組への規制強化へ

中国の国家ラジオテレビ総局(SART)は9月20日,国内のテレビ局や動画配信サイト事業者を対象に,提供する娯楽番組のうち外国コンテンツの比率を30%以下に制限するなどとする規制案を公表した。中国ではこれまで,国内のテレビ局はこうした海外コンテンツの比率が25%以下に規制されていたが,OTT事業者は規制の対象外だった。

また規制案では,海外の娯楽番組が放送・配信される際は事前に当局の承認を必要とし,午後7時から10時までのゴールデンタイムに提供することはできないと規定している。さらに教育,文化,科学技術,芸術,スポーツ等の番組は,再編集を義務づけている。

このほか,中国国内で制作される番組について規制案では,香港,マカオ,台湾を除き,海外の俳優や制作スタッフの比率が20%を超えてはならないとするとともに,脚本家と演出家のうち少なくとも1人は中国本土の人材であること,主演男優と主演女優も同様に少なくとも1人は中国本土の人材であることなどを義務づけている。

今回の規制案について北京外国語大学のメディア研究者の展江教授は,政府がイデオロギーや文化の面でコントロールを強める動きだとしたうえで,「当局は外国の番組のほうが国内の番組より魅力的だとわかって規制強化を図っている」との見方をしている。また,あるOTT事業関係者は,「現在は30%をはるかに上回るコンテンツが外国製だ。中国は多くのアニメを作っているが,外国製ほど魅力的な作品はない」と匿名を条件に語っている。

この規制案は10月中旬まで国民からの意見を集めたうえで最終決定される。

山田賢一

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