中国,機構改革で中央テレビなど3局合併へ

中国共産党は3月21日,党と国家の機構改革のため,中国中央テレビ(CCTV),中央人民ラジオ(CNR),中国国際ラジオ(CRI)の3つの国営放送局を合併し,中央広播電視総台(中央ラジオテレビ)を設立するなどの改革案を公表した。それによると,これまでメディアを管轄してきた国家新聞出版ラジオ映画テレビ総局(SAPPRFT)は,新聞・出版部門と映画部門を分離したうえで,国家広播電視総局(国家ラジオテレビ総局)と改称する。またSAPPRFTの管轄下にあったCCTVなど3つの国営放送局については,合併して中央ラジオテレビを設立,今後,対内的にはもともとの呼称を使うものの,対外的には「中国之声」(Voice of China)の統一呼称を使用するとしている。

CCTVなど3局は,いずれも中国共産党が1940年に創設した延安新華ラジオを起源とし,その後,北京新華ラジオ,さらにCNRに改称した。1958年にはCCTVがCNRから分離,1963年にはCRIがCNRから分離した。今回3局が合併することになったのは,台湾向け放送や海外支局の設置,ネット展開などの面で業務の重複が目立つ問題への対応に加え,統合によって共産党の指導・管理を強化することや,規模の拡大による国際競争力の強化も見据えている。3局の人員はCCTVが約1万人,CNRとCRIがそれぞれ約2,000人とされ,合併後には世界最大規模のメディアの1つとなる。

中国ではすでに上海,広東,湖南など省・市・自治区のレベルでテレビ局とラジオ局の合併が進んでいるが,中央では潤沢な収入を誇るCCTVの抵抗で,統合への動きが遅れていた。

山田賢一

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