MX『ニュース女子』の人権侵害を認定,BPO放送人権委員会が「勧告」

放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は,沖縄の基地反対運動を取り上げた東京メトロポリタンテレビジョン(以下,MX)の情報バラエティー番組『ニュース女子』に,人権団体「のりこえねっと」の辛淑玉(シン・スゴ)共同代表に対する人権侵害と放送倫理上の問題があったとする「勧告」を,3月8日に公表した。

この番組は放送局の自主制作番組ではなく,MXが企画・制作に関わっていない,いわゆる「持ち込み番組」で,2017年1月2日,沖縄県の米軍ヘリパッド建設に反対する運動を取り上げて放送した。

勧告では,持ち込み番組であっても放送局が放送責任を負うことは当然としたうえで,番組全体として基地反対運動を「過激で犯罪行為を繰り返す」ものとして描き,辛さんが「その黒幕」で,参加者に5万円の日当を出していると受け取れる内容になっていたが,これらの真実性の立証はなされておらず,辛さんへの名誉毀損の人権侵害が成立するとしている。

また辛さんへの取材がなされていないことと,人種や民族に関することを扱う際に必要な配慮を欠いていたことについて,MXが考査で問題にしなかったのは放送倫理上の問題があるとして,考査を含めた放送のあり方を十分に検討し,再発防止の努力をするよう求めた。

この番組をめぐっては,同じBPOの放送倫理検証委員会が,2017年12月,MXの考査に重大な放送倫理違反があったとする「意見」を公表しており,MXは2018年3月末で,同番組を終了した。

塩田幸司

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