VR映像体験施設の業界団体が子どもの利用のガイドラインを施行

仮想の世界を現実のように体験できるVR(バーチャルリアリティー)の映像コンテンツの開発が進んでいる。放送局の間でも,VRコンテンツを制作・配信したり,VRコンテンツの体験イベントを開いたりする動きが広がっている。

VRは,HMD(ヘッドマウントディスプレー)など両眼で映像を見る機器を使用して,より臨場感や没入感を味わうことができるが,子どもの使用には注意が必要とされている。子どもは両眼で立体的な遠近感を得る「立体視」の発達段階にあり,眼への負担が大きいVRや3Dの映像を見ることが立体視の発達に影響する可能性があると指摘されているのだ。HMDのメーカーやHMDを使ったコンテンツを扱う事業者の中には年齢制限を設けているところもあるが,基準は事業者で異なっている。

こうした中,HMDなどでVRを体験できる施設の関係事業者が2017年に設立した「ロケーションベースVR協会」が1月5日,施設の利用年齢に関するガイドラインを施行した。ガイドラインは小児科医の意見などを踏まえ,子どもの眼への影響に配慮した自主規制の指針を示した。基本的な立体視の発達が6~7歳で終わるとされていることから,HMDなどの7歳未満の使用を禁止とし,7歳以上13歳未満の使用は,保護者の同意を得た上で,連続20分の使用後に10~15分程度の休憩をとることなどを呼びかけている。

ロケーションベースVR協会は「VR業界を主導する立場として,安全な使用と技術開発や普及とを調和させ,市場の健全な発展を目指したい」としている。

越智慎司

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