放送倫理・番組向上機構（BPO）の放送人権委員会は，4月14日，無料通信アプリの「LINE」で地元中学生とトラブルになった大阪府議会議員を「キモイ」と論評したラジオ番組について，人権侵害や放送倫理上の問題はないとする「見解」を発表した。
対象となったのは，2014年8月22日に放送されたTBSラジオの深夜トーク・バラエティー番組『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』。この番組で，お笑いタレントの「おぎやはぎ」が，大阪維新の会の山本景府議会議員（当時）と中学生との「LINE」上でのトラブルについて語った際，「思いついたことはキモイだね。完全に」などと発言したのに対し，山本氏が「全人格を否定し侮辱罪にあたる可能性が高い」として申し立てた。
委員会は，「公職選挙法によって選出される地方議員の行動に関わる事実に対する論評は，健全な民主政治の維持発展のために不可欠のものであり，それが議員の社会的評価を低下させたり，議員自身の名誉感情を傷つける側面を有するものであっても，議員においては，一般私人に対する論評よりも受忍すべき限度は高く，寛容でなければならない」という規範を明示したうえで，今回の放送は「名誉を毀損したり，名誉感情を侵害するものではない」という判断を示した。
また「補足意見」の中で，「規範部分は，地方議会議員の行動に関わるものではあるが，このような取材・放送の自由が萎縮する状況に陥らないためにも，国政を担う政治家の行動については，なおさら妥当するものと考える」と付け加えている。